レーザーメスと電気メス!何に違いがあるの?
医療処置の際に馴染み深い医療器具にメスがあります。メスは様々に問題を起こしている部分を除去することなどに使用されています。メスと一言で言っても、色々な種類のものが用途によってあります。今回その中でもレーザーメスと電気メスをとりあげて、双方の違いにフォーカスして解説します。
レーザーメスと電気メスのそれぞれ?
外科手術では治療が必要な場所にメスを入れます。腹部を切開する手術の場合、先に皮膚を切り、脂肪・筋肉と切っていきます。それから腹膜を切って消化官にたどり着きます。
通常のメスだと先の尖がった尖刃メスや、先の方が緩やかなカーブになっている円刃メスなどを使用します。手術中に脂がメスに付着して切れなくなることがあるので、途中何度か交換する必要があります。なかには、メスの刃に超音波振動を作用させることで、付着した脂肪を乳化させ付着を防ぐような器具も存在します。
メスの種類は多く上記で触れたスチールメスや超音波メス、その他電気メスやレーザーメス等があります。それぞれの特徴から、適した部位や手術方法などがあります。今回はレーザーメスと電気メスについて詳しく見ていきます。
〇レーザーメス
この器具に使用されるレーザーは、特殊な装置を使った人工的な光の束の1つです。自然光とは全然違う性質を持ち「位相が一致している・進む方向が一致している・単一の波長である」という特性があります。
〇電気メス
一方こちらは、高周波電流の熱エネルギーを活用して細胞組織の切開や凝固止血を行います。そのため、正確には「高周波電気メス」と呼びます。利点としては「出血量が少ない・それによって患部が見やすく手術がしやすい」という特性があります。
仕様の異なる両者のメス
レーザーメスは、スチールメスと電気メスの中間的な特性を有しているといえるでしょう。
下記にてレーザーと電気メス、両者の種類を挙げてみます。
〇レーザー仕様の種類
外部からエネルギーを受け特定の波長だけを出力する「媒質」により種類は異なります。個体レーザーの1つ「Nd:YAGレーザー」、ガス(気体)レーザーの1つ「炭酸ガスレーザー」「半導体レーザー」などが臨床ではよく使用されています。
〇電気仕様の種類
電気仕様のメスは「モノポーラ」と「バイポーラ」2種類ありますが、基本的な仕組みは同じです。モノポーラは電気メスの先が1本の仕様で、そのアクティブ電極から高周波電流を流し切開する方法です。バイポーラは先端が2本になって、セッシのような形になっています。
使用時、前者は本体からの電流が、身体を流れることで一度分散します。分散された電流を対極板で回収して本体へ戻します。このようにすることで、人体には余分な電流を残さない仕組みとなります。後者は、一方の器具の先から電流を流しもう一方の器具の先から電流を回収しています。このように仕組みが異なります。
切開は器具の先に触れている部分を消失させることで切り開きます。凝固は器具の先に触れている部分を熱凝固させることで、血管であれば止血することになります。これら器具は、切開と凝固の様式があってそれぞれ電流の流れ方が変わります。
まとめ
レーザーメスと電気メスをみてきました。レーザー系の優位点としては、歯の治療や皮膚のシミやソバカス、ニキビ治療、また人体の深部組織の治療と処置範囲が広いことが挙げられます。電気系の優位点は装置本体が低価格で消耗品の減少が僅かなため、費用対効果に優れています。また操作が容易なことも良い面と言えます。
それぞれの特性を持ったメスなので術式により使い分けて治療に用いて、それぞれの患者さんに適したものをと存じます。