レーザーメスの仕組み ~基本的な原理や種類について~
外科手術においては、レーザーメスが使用されることも多くなってきています。技術の進歩によって、その性能や使いやすさなども日々更新されてきております。今回はそのレーザーメスの仕組みについて解説いたします。
レーザーメスの基本的な原理
現在、主に使用されているレーザーメスの種類は「炭酸ガスレーザー」と「YAGレーザー」の2つであり、両者とも発生する熱エネルギーを利用して、患部を切開したり蒸発させたりすることができます。一般的には外科手術で用いられます。
炭酸ガスレーザーはより一般的なレーザーメスであり、炭酸ガス(二酸化炭素)を使って赤外線と同じ領域の、周波数のレーザー光を出すことができます。高出力のレーザーを連続的に照射することができるのが特徴となります。
YAG(ヤグ)レーザーは炭酸ガスの代わりに、イットリウム(Y)・アルミニウム(A)・ガーネット(G)で構成される結晶体を使って、レーザー光を出力するタイプになります。結晶体には微量のレアアースが添加されているのが特徴です。
レーザーメスの特徴
密度の高いレーザー光を局所的に照射することが可能であり、これによってデリケートなオペにも対応できます。また、通常のメスであれば切開後、縫合などの作業が必要となりますが、レーザーメスであれば熱を使う特性上、それらを同時に行うことが可能となります。
切開と同時に患部を塞ぐことのできる他、熱を発しているので消毒する効果も持っています。また、熱を与えると圧力が高まる現象を利用し、腫瘍をあえて破裂させて治療するという術式も行うことが可能です。
術後の治癒も通常のメスの場合より速く、施術による傷も残りにくいのが特徴です。痛みなども少ないので、大きな利便性があります。通常のメスでは熟練の技術に裏打ちされるところが大きいですが、レーザーメスであればそれを再現してあまりあるというわけです。
レーザーメスに向いている手術
レーザーの熱で出血は抑えられ、また短時間での止血が可能です。したがって、脳や肝臓などの複雑で出血しやすい部位や、通常のメスでは縫合の困難な臓器などに向いています。
レーザー光の波長や強度を調整することができるので、さまざまな部位や術式に対応が可能です。切開・凝固・止血などのパターンも、それによって調節することができるというわけです。
技術は日々進歩しており、これからさらに機能性や使いやすさがアップグレードされてくる見込みです。将来的には医療の分野でより拡張されたレーザーメスが登場してくるでしょう。
まとめ
レーザーメスの仕組みについて解説いたしました。現場の仕事には一見関係がないように思われがちですが、簡単な仕組みを知っているだけでも、医療に対する考え方は変わってきます。知識は最大限インプットし、平素の業務にあたりたいところです。