レーザーメスの歴史 ~歴史の流れから生まれたメス~

治療用機器

メスは、わりと身近な治療器具と言え人体部位にメスを入れ切開などする場合、使用します。レーザーメスは種類により特性が異なります。今回、レーザーメスの歴史とその歴史の流れから生まれたメス(二種類)について解説します。

レーザーメスの歴史?

レーザーの医療への応用は古く、最初はルビーレーザーが発振してから数年以内に身体に照射したとされるレポートがあります。レーザーは他の医療機器などにも応用されていましたが、このレーザーメスの歴史は、第一世代の創始期と第二世代の発展期に分けて考えられます。

◎創始期(第一世代)
この世代は1975~1980年頃までを指します。長年、医療用レーザーとしてCO2,Nd:YAG、Arの三種類と用途の限定されたルビーを使用したレーザーが使われてきました。

CO2,Nd:YAGを使用した治療器では、切開及び止血凝固を行っていました。また、Arの治療器は、網膜凝固の治療で緑色の可視光が網膜に到達するまで障害なく透過し、網膜で熱を生じることを活用したメスです。これらのレーザー治療器は、眼科・消化器内科・形成外科において使用されていました。

◎発展期(第二世代)
この世代は、1980~現代までで、特にその特性を活かして多様化しており、レーザーの種類も増えています。さらに対象部位も動脈硬化・角膜・前立腺・半月板・骨・歯・結石など多様化しています。

歴史の流れから生まれたレーザーメス

レーザーを世界で初めて、外科医手術に応用したのは1963年のルビーを使いレーザー光を活用した網膜の光凝固法というものでした。現在は炭酸ガスレーザーとNd:YAGレーザーが様々な場面で、多く活用されています。

◎炭酸ガスレーザーメス
水に反応する特長があり、赤外線領域の波長10,600nmの光を発生します。人体の皮膚には水分が多く含有されているので、照射するとその部位の周辺細胞内の水分に熱エネルギーが生じます。

炭酸すなわちCO2を使用した治療は、主に脂漏性角化症のイボやホクロ、盛り上がりのあるシミの取り除きに有効性を発揮します。それは、照射しても深部組織や周りの正常な皮膚にダメージを及ぼさないため、普通のメスで除去した場合より傷跡が残りにくく、加えて治りが早いのが特徴です。

◎Nd:YAGレーザーメス
こちらは、波長1,064nmであり、水分に吸収されにくいです。断続的に照射すると組織内部まで浸透する性質を有しています。YAGは、イットリウム・アルミニウム・ガーネットの頭文字を取りヤグと言われ、そのYAGに添加材としてNd3+が使われて、Nd:YAGと呼ばれています。

医療機関によっては、継続的な照射である連続波法ではなく、パルス発振(瞬間的照射の繰り返し)の照射法を採用しているところもあります。

この方法だと熱の深達度による影響や危険のない止血、凝固、蒸散、切開を施術することが可能です。パルス振動法は、止血を抑制した治療が行えます。また消炎効果もあるため、治療効果が早く現れます。歯科治療のおいて広く活用されています。

まとめ

レーザーメスの歴史においては、レーザーを治療器に応用して様々な用途に用いたものが開発されてきました。それは、言い換えるとたゆまざる医療機器メーカーの道のりとも言えます。人体により良く優しい機器が今日も研究されています。

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