聴診器の構造とは?その仕組みと装着や使い方について解説
病院など医療機関で使用する「聴診器」は診察用具の1つですが、直接患者さんの皮膚にあて、体内の音を聴き取るための医療器具です。
呼吸音や心音などを聴くことが主ですが、血管雑音や腸蠕動音などの確認の際にも使用されることがあり、別名「ステト」と呼ばれることもあります。
患者さんの状態を把握するために体内で発生する音を聴くためのものですが、その構造や仕組み、使い方について解説していきます。
聴診器の構造
聴診器の構造は、チェストピース・チューブ・耳管部の3種類でできています。
チューブは硬さや太さがあるほうが、雑音が入りにくく呼吸音は伝わりやすくなります。
聴診器を装着するときには適切な長さか確認が必要です。
医者用の聴診器の場合、耳にイヤーチップを装着したときにチェストピースがへそ高さになるように設定されていることが多いといえるでしょう。
しかし看護師用の聴診器は、耳にイヤーチップを装着したときは恥骨の辺りになる長さに設定されていることが多いといえます。
血圧を測定するときなどに患者さんと距離を保つことができるようにするためで、少し長めになっているようです。
なお、聴診器を装着するときには、両手で耳管部を持つようにしてください。
片手で持つと耳管部が曲がったり壊れたりする原因になりかねません。
聴診器を使った聴診方法
聴診するときには、聴診したい位置に聴診器を一定の力であてて密着させていきます。
頸部から順番に尾側へと下がっていきますが、前胸部と背部は左右対称に行うことがポイントです。
頭側から高さは4段階に分け、8か所に分けて聴診していきます。
呼吸音の聴診では、左肺と右肺の音を比べながら行ないましょう。
なお、患者さんに何の前触れもなく聴診器をあててしまうと、チェストピースの冷たさで驚かせたり不快にさせたりします。
チェストピースを手などで温めた後、これから聴診を始めることを伝えてから行うようにしてください。
疾患によって聴診器をあてる位置は違うことに注意
疾患により、聴診器をあてなければならない位置は異なります。
たとえば気管支喘息の患者さんの場合、吸気や呼気の際に笛音が聴こえますが、副雑音は気管支の末梢から肺胞のある肺の奥部分より、気管や気管支領域で聴こえることもあることから、頸部を中心として聴いていくことが必要です。
胸部で聴こえる音が頸部や口元では聴こえないという場合、かなり末梢の気管支で病症が発生していると判断できるため、思いっきり息を吸って吐き出してもらう強制呼気も行いましょう。