資産計上する医療機器の償却方法は?会計処理のルールで注意しておきたいこと
医療機器は高額なものが多いため、会計処理に迷いが出ることも少なくないようです。
確かに10万円以上のものは一旦固定資産として計上が必要なため、全額費用にすることはできないなど、会計処理のルールにしたがった会計処理が求められます。
そこで、資産として計上する医療機器の会計処理で注意しておきたいことや、償却するときの方法について説明していきます。
少額減価償却資産制度と一括償却資産制度による費用計上と償却
10万円以上のモノを購入した場合、継続して資産価値が存在することから、購入した年度にすべて費用として計上せず、資産ごとに定められている法定耐用年数に分けて費用に計上していきます。
そのため実際に支払った金額と費用として計上できる金額が異なるため、税負担が重くなったことによる資金繰り悪化を招く可能性も考えられます。
ただ、特別な税制である少額減価償却資産制度と一括償却資産制度を適用させれば、次のように取扱いを緩和することが可能となります。
・少額減価償却資産制度…適用可能取得額30万円未満・取得時に即時償却(全額費用化)・償却資産税対象
・一括償却資産制度…適用可能取得額20万円未満取得時に3年均等償却(3年間で費用化)・償却資産税対象外
少額減価償却資産制度は30万円未満のモノなら制度適用が可能となり、取得した金額をすべて費用計上できますが、年度内で合計額300万円を超えることはできません。
一括償却資産制度は20万円未満のモノなら制度の適用が可能となり、3年間で費用計上することが可能となり、償却資産税はかかりません。
10~20万円未満のモノを購入したときには、どちらかの制度を選ぶか迷うことになるでしょうが、償却資産税など考慮した上で特段の事情がなければ一括償却資産制度を適用させたほうが多いといえます。
医療用機器等の特別償却制度の活用
医療用機器などは、一定要件を満たせば特別償却で償却することが認められます。
特別償却は法定耐用年数に基づいて行う通常の償却に加え、取得しいたときに割増で償却する制度です。
費用を前倒しする効果を得ることができる制度といえますが、3つの制度に分けることが可能であり、取得したときには特別償却できる割合がそれぞれ次のように異なります。
・病床再編などで取得または建設した病院用建物と附属設備…8%
・取得価額500万円以上で高度医療提供に資するものや薬機法指定を受けて2年以内の医療機器…12%
・医療機関が医療勤務環境改善支援センターの助言のもとで作成した医師労働時間削減計画に基づき取得した器具備品・医療用機器・ソフトウェアで30万円以上のもの…15%