麻酔器などの医療機器保守・点検について解説

治療用機器

近年、麻酔器や人工呼吸器といった医療機器の使用による重大な事故は全国的においても珍しくありません。
医療機器が導入されることにより高度な医療サービスが提供できる様になったことは間違いありませんが、その反面で医療機器の安全性や信憑性についてはより厳格化されるようになりました。
適切に医療機器を使用するためには保守・点検は欠かすことはできません。
今回は麻酔器をはじめとする医療機器の保守・点検について解説していきます。

○医療機器管理台帳の作成
まず、各施設におけるすべての高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のデータを集約した医療機器管理台帳の作成を作成します。
医療機器管理台帳には管理番号、型番、設置場所、機器区分、製造番号、製造年月、購入年月、使用期限、廃棄年月を記入します。
保守・点検や修理を行なった際のチェック新たに機器を購入したときに追加記入がしやすいように医療機器管理台帳はコンピュータ管理がよいでしょう。データの破損を防ぐために定期的なバックアップを、少なくとも年に1回は印刷して保管しておきましょう。

○具体的な保守・点検
保守・点検には日常点検と定期点検に分類されます。

●日常点検
日常点検には始業前点検と終業前点検、使用中点検を行います。
点検内容は「外観点検」「機能点検」を実施します。
外観点検は目や手で医療機器の本体やコード類などの外観の傷、部品の不足がないか、普段と異なる箇所はないか点検します。
機能点検は安全装置や警報装置の確認、電源系統の確認などを点検します。
使用中点検では警報や動作の設定、医師の指示通りの設定になっているかなどを点検します。
なお、日常点検には機器の使用前・使用後の消毒や清拭、消耗品の補充なども含まれます。

定期点検
定期点検は日常点検よりも詳細な点検や機器内部の部品交換などにより機器の性能を確認・機能維持していきます。
定期点検は専門的な技術や知識を要するため、工具や検査機器が必要となる場合も多いため、外部業者に委託することもあります。
また、定期点検にはどれくらいの頻度(予定日時)でどの機器の定期点検を行うのかを明記した「点検計画書」を作成しておきます。
点検計画書があることにより視覚的に点検時期を把握できるため、点検の見落としを防止することができます。
定期点検の主な項目は以下の通りです。

・外観点検
機器の傷や汚れ、ケーブルの接続状態など機器外観の点検を行います。

・機能、性能点検
警報やアラームが作動するか、各機能の動作が正常であるかを点検します。
詳細については機器によって大きく異なるため、説明書やメーカー情報から確認しておきます。
必要があれば部品交換を行います。(消耗品の交換も含む)

・電気的安全性点検
患者漏れ電流や外装漏れ電流、接地漏れ電流などがないか測定器を用いて点検します。

・定期点検済証の貼付
定期点検が完了したら点検日時や次回の点検予定、点検実施者等が記載された定期点検済証を機器に貼付しておきます。

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