COVID-19で重症化したときに使用される医療機器とは？ECMOの目的と特徴

「COVID-19（新型コロナウイルス感染症）」に新規感染した患者が重症化したとき、集中治療医が診療することになります。

ウイルスが肺で増殖し、急性呼吸不全など重症化したときに対応するためには、「人工呼吸器」や「体外式膜型人工肺（ECMO）」など専門的な医療機器が必要です。

そしてこれらの医療機器の知識がある集中治療医の役割が大変重要といえるでしょう。

COVID-19で肺炎が悪化し、急性の呼吸不全になった方は自力で呼吸できなくなるため、集中治療室で肺を休ませウイルスを排出することが必要ですが、このとき使用されるのが「人工呼吸器」や「体外式膜型人工肺（ECMO）」です。

COVID-19に関連する医療機器のうち、「人工呼吸器」か「体外式膜型人工肺（ECMO）」を使用する目的と、それぞれの特徴とについて説明していきます。

「人工呼吸器」の目的と特徴

「人工呼吸器」とは、患者の呼吸をサポートするための医療機器です。

陽圧ガスを患者の口から送り込むことで、圧力により肺を膨らませることができます。

呼吸は酸素を肺で体内に取り込み、細胞活動で消費して二酸化炭素を排出する運動のことを意味します。

ただ、肺自体は自発的に膨らんだり縮んだりしているのではなく、横隔膜など呼吸筋を動かすことによって胸郭内の圧が調整され肺の中の空気が出し入れされます。

人工呼吸器では自発的に呼吸運動ができなくなった場合に使用されますが、COVID-19でも酸素をうまく取り込んだり二酸化炭素を排出できなかったりする患者に対し使用します。

体外式膜型人工肺（ECMO）の目的と特徴

「体外式膜型人工肺（ECMO）」とは、人工肺と遠心ポンプを使って、心臓や肺の機能の代行しつつ血液循環と血中のガス交換をサポートする医療機器です。

重症呼吸不全や重症心不全の患者の生命維持のために使用され、ポンプで血液を取り出し肺に代わって酸素と二酸化炭素を交換し、体に血液を戻して呼吸をサポートします。

使用の際には専門的な知識が必要となるため、重症呼吸不全に対する治療として使用できる集中治療室は限られているといえます。

COVID-19では密な情報共有が重要

新型コロナウイルスとよばれるCOVID-19は、情報や知見が十分といえず、安全性の高いワクチンや特効薬が開発されるまで時間もかかると考えられます。

そのため現在では、最新論文や学会、症例から情報を得てCOVID-19の対処に当たっている状態といえるでしょう。

集中治療室で行う治療においても、密な情報共有が重要と考えられます。