【麻酔器】麻酔目的と身体への影響とは?

治療用機器

医療現場における「麻酔」には眠らせる、いわゆる意識レベルを落とすことが主な目的ですが、それ以外にも痛みを感じさせないようにしたり、筋肉の緊張を落とす(筋を弛緩させる)目的で用いられます。

○麻酔の種類
麻酔には区域麻酔と全身麻酔に分けられます。それぞれメリットや目的が異なります。

●区域麻酔
リドカインやロピバカインなどの麻酔薬を用いてターゲットとする部位のみ麻酔を効用させるという方法です。
区域麻酔には神経終末に作用させたり、太い神経を麻痺させて目的とする部位に作用させます。
使用する薬剤や部位によって身体にさまざまな影響を与えるため注意が必要です。

●全身麻酔
セボフルランなどの薬剤を麻酔器にて気化させて吸入させたり、静脈注射で薬剤を投与して意識レベルを落として麻酔を作用させます。
意識レベルを下げるという目的においては最も効果の高い麻酔方法ですが、その分リスクや副作用を伴うため専門医による薬剤や分量の選定が必要となります。

○麻酔による身体への影響とは?
麻酔には目的とする効果を与える一方で、身体にさまざまな影響が起こります。
麻酔によるメリット・デメリットをしっかりと理解しておきましょう。

①呼吸への影響
麻酔薬によって肺胞気酸素分圧が低下した際に起こる動脈の血管平滑筋の収縮が抑制されており、全身麻酔における人工呼吸器の使用によって肺循環血流量に対する肺胞換気量の割合のバランスが崩れると酸素化されていない血液が肺静脈へ流入する(シャント血流)によって動脈血酸素飽和度が低下、呼吸不全を起こすリスクがあります。
麻酔施行中はモニターにてバイタルを確認しながら手術や処置を行う必要があります。

②尿量への影響
麻酔薬の使用により、全身の血液循環に変化が起こります。
一定時間当たりの腎臓を流れる血漿量が低下することや手術による侵襲的な処置による抗利尿ホルモンの分泌が促進されることで尿量が減少します。
長時間におよぶ麻酔の使用においては尿量を確認しておく必要があります。

③血液循環への影響
麻酔薬の使用によって心臓の機能が抑制されることや末梢血管の拡張、迷走神経反射や体温の低下などが原因となり血圧が低下することがあります。
そのため、必要に応じて昇圧剤を使用して麻酔を維持することもあります。
なお、手術後においては高血圧を呈することが多くなるケースが多く、脳血管疾患のリスクが高くなります。
高血圧の既往がある方は特に注意が必要となります。

ピックアップ記事

関連記事一覧