肺の呼吸機能を助ける医療機器「人工呼吸器」とは?長期使用のリスクを解説
肺の呼吸機能が低下したときや喪失したときには、その機能を助ける医療機器である「人工呼吸器」が必要となります。
人工呼吸器を使うことで、肺への空気の出入りが補助されることとなりますが、その機能も様々です。
そこで、肺の呼吸機能を助ける人工呼吸器とはどのような医療機器なのか、長期的に使用することでどのようなリスクがあるのか解説していきます。
人工呼吸器とは
「人工呼吸器」とは、人工的に呼吸を管理するために使用される医療機器です。
呼吸を100%助けてくれるものもあればわずかな呼吸をサポートするものまで機能は様々といえますが、病気の程度などで使い分けることになります。
人工呼吸器を使うリスク
人工呼吸器を使うことで、次の3つのリスクがあることは留意しておきましょう。
・誤嚥リスク
・肺への影響
・生体への影響
それぞれのリスクについて説明していきます。
誤嚥リスク
人工呼吸器を使うデメリットとして、気道を確保できないことから誤嚥リスクがあると考えられます。
気道と食道を分離することが難しいため、嘔吐や腹部膨張感のリスクが高くなり、気道内圧を高くかけることができないため病態によって換気を十分に得ることができないというデメリットもあります。
また、マスクを装着していることで皮膚が損傷したり不快感があったりということもデメリットといえるでしょう。
肺への影響
人工呼吸器を使うデメリットとして、長期間装着し続けることにより肺に空気を送り込む圧力や空気の量の調節が必要になることが挙げられます。
原因は肺コンプライアンスの低下で、肺の膨らみやすさが低ければ当然肺は膨らみにくく、高ければ膨らみやすくなります。
風船のように空気で膨らむ肺は、通常であれば横隔膜が上下に動いて陰圧と陽圧の状態を作り、空気を出し入れする陰圧換気が行われます。
しかし人工呼吸器を必要とする方は陰圧換気を行うことができないため、機械で空気を送り陽圧換気で呼吸します。
ただし肺コンプライアンスの低下によって肺が膨らみにくくなり、強く陽圧換気をしなければなりません。
生体への影響
人工呼吸器を使うデメリットとして、人工呼吸療法中は心拍出量が低下し、腎血流量が減少し静脈還流は低下します。
それによって血漿抗利尿ホルモンは上昇し、心房性ナトリウム利尿ペプチドが低下することで尿量が少なくなってしまうといった、生体への影響があると考えられます。