呼吸運動を助ける医療機器「人工呼吸器」とは?人の呼吸をサポートする仕組みを解説
医療機器の中でも「人工呼吸器」は、空気中の酸素(21%)よりも高い濃度の酸素を肺へと送ることや、高い圧をかけて肺を拡げ呼吸を助けるといったことにより、肺を休める役割を担います。
人の呼吸運動を助ける医療機器といえますが、人工呼吸器がどのような仕組みで呼吸をサポートするのかについて解説していきます。
人が呼吸する仕組み
人が呼吸する仕組みについて説明します。
まず、人が呼吸するときは、体外から酸素を取り込んでエネルギーを作り出し、細胞活動により産生された二酸化炭素を体外へ排出します。
人の肺は、収まっている胸郭を広げることで膨らみます。
横隔膜が下がることで胸郭内の容量が増えるため、それによる内圧が低下で体外から取り入れた空気を肺に入れることが可能です。
そして横隔膜が元の位置に戻れば内圧も上がり、肺に取り込まれた空気が押し出され体外へ排出されます。
この呼吸回数は成人の場合1分あたり15~17回、新生児は1分あたり40~50回です。
酸素が取り込めない呼吸不全とは
血液に酸素を取り込むことができない状態を呼吸不全といい、動脈の血液にどのくらいの酸素が含まれているか示す動脈血酸素分圧が60mmHg以下の状態です。
それに加え、動脈の血液が二酸化炭素をどのくらい含むか示す動脈血二酸化炭素分圧の値によって、呼吸不全の呼び方は次にように分かれます
・動脈血酸素分圧が異常値で動脈血二酸化炭素分圧は正常値(35~45mmHg)の場合にはⅠ型呼吸不全
・動脈血酸素分圧が異常値で動脈血二酸化炭素分圧も異常値(60mmHg以上)の場合にはⅡ型呼吸不全
・動脈血酸素分圧が60mmHg以下の状態が1か月以上続いている場合には慢性呼吸不全
人工呼吸器で可能になること
人工呼吸器を使うことで、ガス交換を改善させて呼吸仕事量を減少させることが可能となり、呼吸不全の方の呼吸をサポートできます。
人工呼吸器の種類を大きく分けると、次に2つです。
・胸郭外陰圧式
・気道内陽圧式
一般的に使用されてるのは気道内陽圧式の人工呼吸器であり通り、人工呼吸器から患者の口元へ陽圧ガスを送り、その圧力で肺を膨らませます。
胸郭が広がっていない状態でガスを口から押し込むことになるため、肺損傷や横隔膜の筋力低下などのリスクがあることは留意しておかなければなりません。
そのため人工呼吸器は、使用する時間は必要最小限にとどめることが求められます。