医療機器安全管理責任者の役割と求められる資格について解説
医療機器に設置することが決められている、医療機器の安全使用のための責任者を「医療機器安全管理責任者」といいます。
医療機器安全管理責任者は、平成19年4月1日施行の改正医療法「医療機器の安全管理」で定められている役職で、安全に医療を提供するためにも欠かせません。
そこで、医療機器安全管理責任者の役割と、担当するために求められる資格について解説していきます。
医療機器安全管理責任者の役割
「医療機器安全管理責任者」は、施設で医療機器を適切に運用することに向けて舵取りする役割を担います。
医療法には「医療機器の保守点検・安全使用に関する事項」として、医療機器安全管理責任者の役割を次のように示しています。
・従業者に対し、医療機器を安全に使用するための研修を実施すること
・医療機器の保守・点検に関して計画を策定し、保守・点検を適切に実施すること
・医療機器を安全に使用するため、必要な情報を収集しその他医療機器の安全使用を目的とした改善方策を実施すること
医療機器を使うために、従業員向けの研修を行うことや、保守・点検を実施することなどの業務を医療機器安全管理責任者が担当することになるといえます。
医療機器安全管理責任者の必要性
医療法は戦後すぐの昭和23年に制定されたままで、当時と現在では医療現場は大きな違いがあります。
医療機器は故障や動作不良などを起こすことは非常に稀であり、事故発生の多くは誤操作や誤接続、または調整ミスなど人的なミスによるものです。
そのため医療機器を適切に操作・管理することが必要であり、適切な研修や保守管理を実行できる医療機器安全管理責任者の必要性やニーズは高まっているといえるでしょう。
医療機器安全管理責任者に求められる資格
医療機関で医療機器安全管理責任者になれるのは、医療機器に関して十分な知識を有する常勤職員のうち、次の資格を保有している方です。
医師・歯科医師・薬剤師・助産師(助産所のみ)・看護師・歯科衛生士(歯科医業診療所のみ)・診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士
管理者は医療機器安全管理責任者と兼任することはできず、非常勤職員も担当することはできません。
院長や非常勤医師、看護師(看護部長)が医療機器安全管理責任者を兼務することはできないため、院長以外の常勤職員から選ぶことが必要です。
なお、多くの医療機関で医療機器安全管理責任者を勤めているのは臨床工学技士であり、その割合は7割を超えています。