吸収性縫合糸とは?非吸収性との違いや糸や針の選び方を紹介
手術などで使用するときに使う縫合糸のうち、吸収性縫合糸とは体内で吸収されて消失する糸を指しています。
吸収されるまでの時間は素材によって異なるものの、抜糸の必要がないことがメリットといえます。
長い時間をかけて吸収されるタイプの吸収性縫合糸の場合、吸収まで時間がかからないタイプのものよりも張力が弱くなるため、皮下縫合など一定期間のみ創部が閉じていればよいときに使います。
そこで、吸収性縫合糸について、非吸収性との違いや糸や針の選び方を紹介していきます。
合成吸収性縫合糸とは
合成吸収性縫合糸とは、体内で吸収されて消失する糸です。
縫合部分の長期保持や手術部位の感染防止に優れており、非吸収糸から吸収糸へと近年採用が多くなっているといえます。
非吸収性縫合糸とは
非吸収性縫合糸とは、体内で吸収されない糸であり、持続的に緊張が必要な部位へ用いられることが多いといえます。
そのため体内に留置して問題ない素材が使われており、未滅菌で包装された細い絹製糸です。
組織の縫合・結紮・医療機器と組織の固定などを目的として使用されますが、感染を防ぐために使用前には滅菌することが必要となります。
たとえば美容形成による組織の縫縮や、骨・靭帯の組織の縫合で使用されることが多い縫合糸です。
縫合糸の素材・構造
縫合糸は、次の天然素材と合成素材が主に使用されています。
・天然素材…主に絹が使用され、動物の腸からできたカットグットなどが使われることもあります。
・合成素材…ポリエステル・ポリグリコール・ナイロンでできた糸です。
さらに構造は次の2つに分けることができます。
・単糸(モノフィラメント)
・編糸(ポリフィラメント)
それぞれ説明していきます。
単糸(モノフィラメント)
単糸(モノフィラメント)とは一本でできている糸で、滑らかな表面により組織の通過がスムーズであることが特徴です。
編糸(ポリフィラメント)
編糸(ポリフィラメント)とはより糸のことで、表面がざらざらとしており、軟らかく緩みにくい特徴があります。
縫合糸の選び方
縫合糸は、吸収性や編糸または単糸、サイズなど種類があるため、組織に合う使いやすいものを選びます。
様々なメーカーが販売しているため、コストなども選択で重視されるポイントとなるでしょう。
針の選び方
縫合に使用する針の形状は、直針・弱弯・強弯など種類があります。
断面が丸い丸針や、逆三角形の針、内側の尖った角針などが用いられており、できるだけ組織へのダメージを抑えることができるものを選択します。