人工心臓とは?種類や目的・開発されてから現在進化するまでの流れを紹介

治療用機器

人工心臓とは、重症心不全に対する外科的な治療の1つです。

心臓をサポートする医療の機械であり、弱った心臓に代わって血液を全身へ送り出す役割を担います。

そこで、人工心臓とはどのような機械なのか、種類や目的・開発されてから現在進化するまでの流れを紹介します。

 

人工心臓の種類

人工心臓には、以下の種類があります。

・体外に設置する体外型補助人工心臓(LVAD)

・体内に植込む植込型補助人工心臓(VAD)

体外型補助人工心臓では血液を全身に送るポンプを設置しますが、主に入院患者を対象としています。

それに対し植込型補助人工心臓を使う場合は、体内に動力源を有して全身状態が良好なケースでは、在宅や社会復帰も可能です。

 

人工心臓の目的

人工心臓の目的は、以下の2つです。

・心臓移植のドナー(心臓提供者)が見つかるまでの一時的なブリッジ使用

・長期に渡り在宅で質の高い生活を送ること

国立循環器病研究センターが調査した植込型補助人工心臓術後の生存率は、1年で95%と良好な成績です。

人工心臓は永久的に使用することを目的とされていたものの、脳血栓症をきたすリスクも踏まえた上での決断が必要となります。

末期重症心不全の治療法で心臓移植を行うとリスクは軽減されますが、ドナー不足で移植をすぐに行うことは難しい状態です。

このような状況の場合、ドナーがあらわれるまで一時的なつなぎとして、人工心臓をブリッジ使用するといったケースも見られます。

技術は進歩し、体外の大きな機械もウエストポーチサイズまで抑えられ、バッテリー交換も外出中に可能となっています。

体内にコントローラーが植え込まれ、バッテリーも体外充電で使用できる形式に代わるともいわれています。

 

人工心臓の開発と進化

日本での人工心臓の使用は、1992年に現国立循環器病研究センターが開発した体外設置式の空気圧駆動式補助人工心臓が初めて使われたことがきっかけです。

1998年には、磁力を使ったポンプ技術による植込み型左心補助人工心臓が商品化されています。

もともとは1964年に、米国で心不全による死亡率が高いといった問題を解決するために、連邦保健局が人工心臓プログラムを発足させたことで開発が本格化したようです。

現在の人工心臓は拍動流式から遠心ポンプまたは軸流型へと変化し、空気駆動型から電気駆動型、軸受け方式から磁気浮上型に進化を遂げました。

今後さらに血栓などが発生するリスクを低減させる試みに期待が高まります。

ピックアップ記事

関連記事一覧