医療機器の破損事故の責任を職員に求めることは可能?リスクに備える方法を紹介

治療用機器

医療機器の破損事故においては、修理やオーバーホールで本来の機能や状態に復帰できます。

ただ、医療機器の修理が必要になってしまう理由が、経年による劣化ではなく職員の使用方法などのミスによる破損事故や故障だった場合、その責任を求めることはできるのでしょうか。

医療機器の破損は、患者の生命を脅かすことになりかねないため、慎重に扱うことが必要であり、使用方法などに問題があれば改善するべきです。

そこで、医療機器の破損事故の責任を職員に求めることは可能なのか、リスクに備える方法を紹介します。

 

医療機器の破損の責任

職員が医療機器を不注意で破損してしまったときには、本人に費用を請求したいと考えるものでしょう。

医療機器は高額であるため、何度かに分けて給料から弁償額を差し引くべきか、迷うことも少なくないようです。

しかし実際には、職員に医療機器の破損でかかる修理費用などを請求することは現実的ではないといえます。

職員が働いて利益が出るため、病院経営者も恩恵を受けているといえます。

そのため職員がわざと医療機器を壊したわけではない限り、生じた損害を一方的に全額負担させることはできないと考えられます。

金銭賠償を求める裁判事例も見られますが、50%以上の損害賠償は難しいようです。

賠償額の判断は、以下の基準などを踏まえて決定されます。

・労働者の故意や過失の有無

・故意・過失の程度

・労働者の地位・労働条件

・損害賠償に対する注意・指導の有無

・保険に加入していたか

裁判例では労働者に業務遂行上の注意義務違反は認められても、重大な過失とは認められず、使用者の損害賠償請求を棄却しているケースが多く見られます。

 

医療機器の破損事故リスクに備える方法

医療機器の破損に備えるためには、火災保険や医療施設機械補償保険などの保険への加入を検討しましょう。

火災保険の場合は、医療機器の損害・落雷・破裂・爆発・風災・ひょう災・漏水・水災・盗難などの損害の補償につながります。

医療施設機械補償保険では、医療施設内で稼動できる状態の機械設備・装置に不測かつ突発的な火災以外の事故で、物的損害が生じたときに補償されます。

医療行為で生じた身体の障害に対し、損害賠償を請求されることへの備えについては、医師賠償責任保険に加入できます。

医療機器などの製造物に関連する損害賠償請求に備えることをしっかりと検討しましょう。

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