医療用酸素ボンベとは?用途や在宅使用や携帯する上での問題点を解説
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医療用酸素ボンベは、酸素欠乏で発生する生体の諸症状の改善を目的に使用する高圧ガスボンベです。
医療機関では、中央配管を通し、病棟や手術室などへ供給されています。
患者の生死に関わる重要な医療用酸素ボンベについて、用途や在宅使用、携帯する際の問題点を解説します。
医療用酸素ボンベの用途
医療用酸素ボンベの用途として、以下が挙げられます。
・人工呼吸器
・人工心肺
・救急患者の蘇生
・専用装置による高気圧酸素療法
・麻酔
・笑気麻酔の補助用酸素
誤接続を防ぐために、ガスの種類によってボンベの色が区別されており、酸素ボンベの場合は黒色です。
在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法の患者には、健康保険の適用により携帯用の小型酸素ボンベが提供されます。
在宅における医療用ガスの使い道
医療用ガスは、医療機関内における重要な位置付けです。
生死にかかわる重要なものであるため、供給の途絶や取り違いミスなどは絶対に許されません。
また、医療の高度化や進歩とともに、患者が自宅で酸素治療を行いつつ、療養生活を送るための在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法などの形態も一般化しています。
その中で在宅酸素療法は、自宅で過ごしながら、医師の処方に従い酸素吸入を行うことで、治療と同時に日常生活を実現できます。
酸素吸入のみを目的とした入院生活を送る必要はなくなり、生活の質向上の機会につながったといえます。
医療用酸素を携帯することの問題点
在宅酸素療法の患者は、自宅で酸素濃縮装置や設置型の液化酸素容器を使います。
しかしこれらを持参して外出はできません。
通院や散歩などで外出する際には、携帯用の小型酸素ボンベで出かけることになります。
自動車や電車の中だけでなく、航空会社により規定はあるものの、飛行機や船舶内でも酸素ボンベを使って移動できます。
また、行動する範囲は健常の方とほぼ変わらないといえますが、すべての歩道が舗装されているとは限りません。
駅もエレベータがなく階段の上り下りが必要になるケースや、凹凸の道など、スムーズに移動できない場所も多いため、どのような方でも安心して通行できる環境を作ることが急務といえます。
また、携帯用酸素ボンベは、酸素濃縮装置など、家庭用装置と同じく健康保険が適用されます。
ただし健康保険は、本数単位ではなく、月間一括単位での適用となります。
患者が必要なだけ酸素供給業者が酸素ボンベを自宅まで配送する形式となっていることは理解しておきましょう。