麻酔器の始業点検とは

治療用機器

手術には麻酔器が欠かせません。
全身麻酔のため手術の技術はもちろん、麻酔器がいかに安全に作動するかによって人の命がかかってくる大切な医療機器です。
そのためにかかせない始業点検について今回は説明したいと思います。

【麻酔器の役割】

もともと人間の体は手術に反発するようにできているといってもいいかもしれません。
小さな傷が何日かしたら自然に治っていくように、人体には傷を自分の力で治す機能がそなわっています。
手術をするときに麻酔をするのは痛みを抑えるのはもちろん、手術による生体反応を調整するためにあります。
麻酔薬は鎮痛、鎮静、筋弛緩のほか人間が通常状態にあるときに働く循環を抑制します。これは人体としては不自然な状況下に置かれるので、麻酔器が少しでも正常に働かなければ患者の命にかかわるのです。たとえば麻酔薬の量を誤ったり呼吸回路に異常があるなどのことはあってはならないことなのです。

【始業点検】

麻酔器の始業点検では機器が正常に作動するかチェックをします。
・麻酔器のボンベの残量が十分か点検する。
・設置したアラームが鳴るか点検する。
・各設備の内容・残量の確認、栓がきちんと閉まるか、作動するかなどを点検する。
・各部分の回路が正常に接続されているか、漏れがないかなどを点検する。
・テスト用の肺をつけて作動するか点検する。

上記に上げたのはおおまかなものですが、これらの始業点検を怠ると医療事故につながります。患者へ酸素が正常に行き届かない状態になったりするなどして、重大な後遺症が残るか、最悪の場合死に至ります。
そのため、医療機器の中でも麻酔器は1、2を争うメンテナンス費用がかかると言われるくらい重要な機器なのです。

【麻酔器を管理する麻酔科医とは】

では、麻酔機器を使う麻酔科医とは一体どういったことをしているのでしょうか?
麻酔科医とは、手術を行う際、麻酔をして患者の血圧・呼吸・脈拍を管理し手術中異常が起こらないようにする大変重要な医師のことです。
専門知識があるため同じ病院に常勤するのではなく、フリーランスでいろいろな病院に渡り歩くのは麻酔科医が多いと言われています。

麻酔科医は手術中ずっと患者の状態を管理する必要があるため、非常に神経を使い体力も必要です。それを一日に何件もこなすほか、緊急手術での呼び出しがあることで精神的・肉体的にも重労働であるため麻酔科医は不足しがちのようです。

【まとめ】

麻酔器の始業点検の重要さについてはご理解いただけたでしょうか。
麻酔科医も、麻酔器を取り扱うのも人間で、メンテナンスをするのも人間です。最終的には人のチェックが重要になります。
手術に不安があるところに患者は集まるでしょうか?そういう意味では、麻酔に関わる仕事はその病院の信頼性に大きく影響するものといっても過言ではないでしょう。
日頃から麻酔器のメンテナンスを怠らず、もしもの故障の場合に備え保険に入るなど万全な態勢を整える必要があります。

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