人工呼吸器のネブライザーによる効果とは
病気などで自発的な呼吸が難しくなったときに、人工的に呼吸をする機器を使用することがあります。
また、呼吸を助ける以外にも治療としてネブライザーと呼ばれる機器を人工呼吸器の回路の中に組み込むなどして使用することもあります。
ネブライザーとはあまり聞きなれない言葉ですが、人工呼吸器と共に今回は説明したいと思います。
【人工呼吸器とは】
心筋梗塞・脳血管障害などで意識がなくなったり、神経難病・慢性呼吸不全・慢性閉塞性肺疾患などで、自発的な呼吸ができなくなった患者に使用されます。
【ネブライザーとは】
ネブライザーは咳を鎮めたり、痰を取り除いたり、炎症を抑えるために使われます。
患者の病状などによってのど、気道が乾燥し痰が固くなり呼吸が難しくなることがあります。酸素がそれによって十分に取り込めなくなったりもします。
ネブライザーで気道を加湿することで、乾燥の緩和や痰をやわらかくする効果があります。
独立したタイプと人工呼吸器の回路に組み込むタイプがあります。
症状を抑えるため、薬剤・薬液を1~5μm(マイクロメートル)ほどのとても小さな粒子にすることで、気道・気管内から肺の中の肺胞まで届きます。
到達させたい部位によって、ネブライザーで噴霧する粒子の大きさを変え、気管・気管支などに薬剤を届けます。
30μmを超える大きな粒子は咽頭・喉頭などの上気道、3~10μm前後の小さな粒子は抹消気管支へ届くようになっています。
さらに超音波ネブライザーはさらに小さな0.5~3μmの粒子になり肺胞に届けることができます。
【ネブライザーなどのメンテナンス】
長期間使用すると細菌が繁殖しやすくなり、感染の原因になるので機器の清潔を保持するために洗浄・消毒など適切なメンテナンスが必要になります。
また感染を防ぐため、この機器を複数の患者では使用してはいけません。
ネブライザーと同時に使用するため人工呼吸器もしっかりとした安全点検をすることが求められます。
【まとめ】
普段、あまり医療現場に関わることがない私達にとっては、人工呼吸器で呼吸の全てが補えると思いがちです。
しかし、ネブライザーもまた人工呼吸を助けるのに大きな役割を果たしていることがおわかりいただけたでしょうか。
あなたの家族に在宅医療が必要になった場合、人工呼吸器やネブライザーを使う機会も出てくる可能性があります。
今回はあくまでおおまかな説明になりますが、将来のあらゆる事態にそなえて知識のひとつとしても必要となっていくでしょう。