人工呼吸器の各部分名称について

治療用機器

人工呼吸器は、人の呼吸を維持するための大事な医療機器です。
今回は人工呼吸器のしくみや各部分の名称について説明したいと思います。

【人工呼吸器のおおまかなしくみ】

人工呼吸器は以下の3つのもので構成されています。
・駆動源接続部
・人工呼吸器本体
・呼吸回路

◎駆動源接続部
駆動源接続部とは、医療ガス配管から酸素と空気を人工呼吸器本体に送り込むための部分です。

接続部には酸素を送り込む緑色の部分と空気を送り込む黄色の部分があります。これらの色は決められていて、まちがった方の気体を患者さんに送らないようにしています。
それ以外にもピン方式とシュレーダー方式という安全配慮がなされています。

・ピン方式…接続部の突起の形状に特徴があり、酸素がピン数2つ、空気がピン数3つとなっています。またその配置の角度に違いがあります。

・シュレーダー方式…接続するバルブのリング状になっている溝の直径に違いがあり、まちがったものを接続できないようにしています。

◎人工呼吸器本体
酸素や空気の量を調節し、呼吸モードの制御や酸素の濃度調整を行います。

◎呼吸回路
大まかに下記のようなもので構成されています。人工呼吸器から各機器と患者さんを呼吸回路(ホース)でつなぎます。

順序としては
人工呼吸器→加温加湿器→マスクを取り付けた患者さんに空気や酸素を送り、患者さんが排出した呼気はウォータートラップを経て人工呼吸器に送られます。人工鼻を患者さんが使用する場合、加温加湿器は取り付けません。
人工呼吸器の吸気側や呼気側の接続口にバクテリアフィルタが取り付けられます。

・呼吸回路(ホース)…空気などを通す管です。結露を防ぐために熱線が入っていてホースを温めるものもあります。
・加温加湿器…患者さんに送る空気などを温めたり加湿をします。NPPV(※注1)の場合、加温が多いと患者さんのマスクに結露がおきやすくなるため34~35℃くらいの低めの温度に設定します。

※注1…機械を用いて患者さんの気管を切開して呼吸器につなげる方法をIPPV、人工鼻やマスクなどで患者さんが呼吸する方法をNPPVといいます。

・人工鼻…空気などを加湿します。しかし注意点は、人工鼻と加温加湿器は同時に使うと人工鼻の湿度が過度になるため併用することはできません。

・バクテリアフィルタ…人工呼吸器の接続口にありウイルス、細菌を防ぐフィルタです。一般的には呼気側(患者さんが吐いた呼吸側)に取り付けて人工呼吸器の汚染を防ぐことが多いですが、吸気側(患者さんが吸う側)にも装着されていることがあります。

【まとめ】

人工呼吸器にまつわる機器についておわかりいただけたでしょうか。
呼吸ができなくなることは即、患者さんの命に関わります。人工呼吸器や各機器は非常に慎重な取り扱いやメンテナンスが求められています。

ピックアップ記事

関連記事一覧