レーザーメスと関連の深いレーザーの原理とは

治療用機器

【はじめに】
外科手術などで使用されることも多いレーザーメスはレーザー光の原理を応用した医療機器です。レーザーメスの原理を知るにはレーザーの仕組みについて理解すると分かりやすいといえます。今回、レーザーの基本原理についてまとめました。

【用語の解説】

まずは基本的な用語の意味を確認しておきましょう。

・基底状態
物質の基礎構成要素である原子の構造は、原子核を中心としてその周りをいくつかの電子が取り巻いて構成されています。この原子の持つ、より安定していて低いエネルギー状態のことを「基底状態」と呼んでいます。

・励起
原子の周りを回転している電子に外部からの光エネルギーが吸収されると、電子はエネルギーの低い基底状態から脱し、高エネルギー状態となります。電子は光を発しながら通常の軌道から外側の軌道へ移るのですが、このエネルギーが高まっている状態のことを「励起状態」と呼んでいます。

・遷移
先に説明した励起状態は非常に不安定な状態で、エネルギーを高められた電子は元のエネルギーが低い状態へ戻ろうとします。このことを「遷移」と呼んでいます。

・自然放射
励起された電子に吸収される外部エネルギーが高ければ高いほど電子はそのエネルギー準位を上げます。しかし一定の時間が経過するとエネルギーを放出し、エネルギーが低い状態へ遷移しようとします。この一連の現象のことを「自然放射」と呼んでいます。

・誘導放出
自然放射されたエネルギーが励起状態にある電子へぶつかると同じエネルギー量・エネルギーの波・進行方向の光を放出します。このことを「誘導放出」と呼んでいます。

【レーザー発生装置について】

レーザー発生装置は以下に示したような3つの要素から構成されています。

・レーザー媒体
誘導放出を起こさせる材料のことです。

・励起源
レーザー媒体に外部からエネルギーを加え、励起させるための装置です。

・増幅器
2枚の鏡で光を囲み、反射させることで光を増幅させる装置のことです。

【レーザー光発生の原理】

励起エネルギーを強くしていくと、励起状態の原子数が基底状態の電子の数を上回ります。
この状態で、レーザー媒体中の自然放射が進むと光の増幅が行われます。
また、この増幅された光が増幅器の間を往復することで誘導放出が起こり、2段階の増幅を経ることになります。この強化された光が増幅器内のエネルギーの一定レベルを超えたときにレーザーが放出されます。

【まとめ】

今回お伝えしたレーザーの原理については物理などに疎い方にとっては少し難しい内容だったかもしれませんが、レーザーメスにも応用されている原理ですので知っておきましょう。
医療の現場でも活用できるよう参考にしてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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