デジタル脳波計とアナログ脳波計の原理的な違い

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
現在医療機関で使用されている脳波計のほとんどは「デジタル脳波計」です。

デジタル脳波計はアナログの脳波計と測定原理が異なり、外部からのノイズの影響を受けにいなどの特徴があります。

今回、「デジタル脳波計とアナログ脳波計の違い」や「両者の異なる測定原理」などについてお伝えできればと思います。

【一番異なるポイント、差動増幅とは?】

デジタル脳波計とアナログ脳波計の一番の原理的な違いを説明します。そのキーワードとして「差動増幅」があります。

差動増幅とは、脳波などの微弱な電気信号を脳波計などで測定するときに、測定しやすいようにその信号を増幅することを言います。

この時、差動増幅器という脳波計に内蔵されている機器を使用するのですが、デジタル脳波とアナログ脳波計の一番の違いは「差動増幅器内の電極の取り扱い方」になります。
簡単に言えば、電極の回路がアナログの場合は電気的に分離されておらず、デジタルでは分離されているということになります。

【デジタル脳波計の差動増幅器の特徴】

差動増幅器の仕組みは、同じ特性のトランジスタを接続し、それぞれの入力端子に入力された信号の差を出力することでデータを取ることが可能になっています。

また、差動増幅器には特徴がいくつかあります。
以下そのことについて紹介します。

1.デジタル脳波計の差動増幅器の場合、外部雑音を除去し、必要な信号の記録だけを取れます。
2.電源からの電圧が変化した場合でも影響を受けにくくなります。
3.時間的に変化しにくい直流部分の増幅に適しています。
4.増幅器内部からの雑音は防げません。

【国内はハイブリッド型が主流】

一般的に使われている脳波計はデジタル脳波計が多いですが、国内で使用されている脳波計はデジタルとアナログの特徴を併せ持った「ハイブリッド型」の脳波計が一般的です。このハイブリッドタイプの脳波計は、脳波記録を電子媒体にして保存することももちろん可能ですが紙記録もできるのが特徴といえます。

またアナログ脳波計と異なり、主なデジタル脳波計の特徴は、導出した脳波記録をサンプリングしたり、他者にそのデータを送信したりでき、またデータ受信者も脳波の解析やディスプレイ表示ができるようになります。もちろん、AD変換器を使えばアナログ信号へ戻すこともできます。

【まとめ】

アナログ脳波計とデジタル脳波計の大きな違いは電極回路の電気的分離が可能かどうかといった点になります。デジタル脳波計は患者回路との電気的分離が可能になりましたが、万が一グラウンド(アース)に接続してしまった場合には非常に危険な状態になります。気をつけましょう。

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