脳波計などさまざまな生体計測器、標準感度などの用語について
【はじめに】
私たちの体の機能を測定する生体計測器には心電計、脳波計、筋電計などさまざまなものがあります。
今回は生体計測器の大まかなしくみや用語について説明したいと思います。
【生体計測器のしくみ】
1.患者さん(被験者)に電極または変換器を取り付けます。これは、生体信号を取り入れるためのものです。
2.生体信号をはっきり読み取るために増幅器で信号を増幅させます。
3.演算器でその入力信号を処理します。
4.表示装置と記録計で信号を表示・記録などします。
5.発信機・受信機でデータを伝送します。
上記の各機器が必要な理由を説明します。
・演算器
生体信号のデータを2次的に加工、計算をすることにより周波数解析・S/N比改善(雑音の除去、信号成分抽出を行う)、波形を自動診断するという信号の処理を行います。
・A/D変換
増幅器により増幅した生体信号はそのままだとアナログデータです。コンピューターでデータを扱えるようにデジタルデータへ変換する必要があります。このアナログからデジタルへデータを変換することをA/D(analog-to-digital)変換といいます。反対にデジタルのデータをアナログに変換することをD/A(digital-to-analog)変換といいます。
・フーリエ変換
時間的変化を表す信号を周波数成分に変換をします。特に、フーリエ変換を高速変換する手法のことをFFT(高速フーリエ変換)といいます。
・表示器(表示装置)、記録計
生体信号を計測して、それを医療スタッフが判断するためには表示器、記録計が必要になります。表示器は人が認識できる速度で表示しなくてはいけません。応答が早い情報・目で確認するのが難しい早い信号(高周波信号)のために、波形認識とその記録ができる記録計を必要とします。
【生体計測器の性能について】
最近は紙ではなくパソコンのデータとして記録するなど性能のデジタル化・高度化が進んでいます。
・周波数特性
記録計がどれだけ高い周波数まで応答できるかが特に重要です。
・経済性と利便性
心電図は比較的短時間ですが、インク補充、インク詰まりの心配はありませんが、脳波計で脳波を計測するときは長時間にわたって記録し続ける必要があります。その場合、多少精度が劣っていても低コストで行える記録方式を用いるか、記録をデジタル化するかなどの検討が必要になります。
・標準感度
記録計のふり幅が1cm動いたとき、生体信号の変化を表したものが標準感度です。
・記録速度(紙送り速度)
紙送り速度は、心電計か脳波計など種類によって標準感度がそれぞれ決まっています。