医療用内視鏡発展史~ファイバースコープの登場による大きな変化~

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

胃や腸などの内臓をはじめとする身体内部の各部分の検査や治療に欠かせない存在となった医療用内視鏡。
その歴史を見てみると、起源は「医学の父」、「医聖」として知られるヒポクラテスの時代(古代ギリシア・ローマ時代)までさかのぼります。
ただ、現在使われている内視鏡という視点で見てみると、その歴史がはじまったのは19世紀でした。
今回は、医療用内視鏡の発展史を見てみることにしましょう。

19世紀における内視鏡の発展

生体内に管を入れて、身体の内部を直接見るという試みをはじめて行ったのは、ドイツのボチニで、1805年に導光器という医療器具を開発して直腸や尿道を観察しました。
「内視鏡」という名前をはじめて使ったのはフランスのデソルモです。
デソルモは、1853年に膀胱や尿道を直接見るための医療機器を開発し、これに「内視鏡」という名前を与えたのです。

その後、1868年にはドイツのクスマウルが金属管を使った方法で生存している人の胃の内部をはじめて見ることに成功し、さらに1881年にはミクリッチらによって実用化された硬性胃鏡が登場しました。
ただし、これらの機器は全部、まったく曲げることのできないもので、検査を受ける人に対してかなりの苦痛を与えるものでした。

胃カメラとファイバースコープの登場

現在の医療用内視鏡の前身ともいうべき胃カメラが登場したのは今から約70年前でした。
1950年、日本において軟性の管の先に超小型電球と極小サイズのカメラを取り付けた胃カメラが開発されたのです。
その後、1960年代に入ると、光ファイバーが開発され、その技術は胃カメラにも応用されることとなり、1964年にはファイバースコープ付き胃カメラが登場しました。
このファイバースコープが登場したあたりから、徐々に胃カメラの時代は終わっていき、リアルタイムで胃の内部を見ることのできる内視鏡の時代へと変わっていくことになります。
また、技術開発の進展によって、内視鏡の対象は胃以外の各部分へも広がり、内視鏡の先端に取り付けた器具によって治療をすることもできるようになっていったのです。

ビデオスコープ、ハイビジョンシステムの登場

1980年代に入ると、内視鏡の先端に固体撮像素子の一種CCDチップを取り付けたビデオスコープ(電子スコープ)が開発され、これにより胃など身体の内部をテレビモニターに映し出すことが可能になりました。
さらに2002年にはハイビジョン内視鏡システムが登場、画像精度の向上により極めて小さな病変なども判別できるようになっています。

最後に

最近では、小型カメラを内蔵したカプセルを口から飲み込むことで、小腸や大腸の内部を撮影することのできるカプセル内視鏡も開発、実用化されています。
このような内視鏡技術の発展は、検査の精度向上のみならず、検査を受ける患者さんの負担軽減や、治療法の進歩にも大きく貢献しているのです。

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