耳鼻咽喉科でも使われるファイバースコープについて
はじめに
私たちの体はさまざまな器官から成り立っており、それぞれが重要な役割を持っています。
今回取り上げる「鼻」「耳」「のど」もそれぞれが「嗅ぐ機能」や「空気を吸う機能」、「音を聞く機能」や「声を出す機能」などさまざまな役割を果たしています。しかし、その形状は複雑で視診や触診などでは確認できない部分もあります。
そこで耳鼻咽喉科の検査や処置に欠かせないのが、電子ファイバースコープです。
この記事では耳鼻咽喉科の検査・処置に有効な電子ファイバースコープについてご紹介して行きたいと思います。
電子ファイバースコープは?
医療の現場で用いられるファイバースコープは、片方の先にカメラを付け、もう片方の先にはアイピースといわれる接眼レンズ(望遠鏡や顕微鏡などのレンズ)を取り付けた医療機器です。
また耳鼻咽喉科で用いられる電子ファイバースコープは、太さ3㎜から4㎜程度と非常に細いため、患者さんへの痛みや違和感などの不快感を極力なくすよう開発されています。
耳鼻咽喉科の検査では通常フレキシブル(柔軟)な電子ファイバースコープが使われ、鼻やのど・耳など複雑な器官に挿入し観察します。
さらには、硬性でまっすぐな電子ファイバースコープを使うケースもあり、これは鼻の外来手術や病巣のサンプル採取などに使われます。
耳鼻咽喉科の電子ファイバースコープ検査と処置
耳鼻咽喉科の診断や治療において、立体的かつ精密な治療を行うことができる電子ファイバースコープは、複雑な形状を持つ耳・鼻・のどなどの診断治療に大きく貢献しています。
ここでは耳鼻咽喉科領域での主な検査やその後の処置について見て行きましょう。
鼻咽腔ファイバースコープ
鼻出血時の部位や副鼻腔炎(蓄膿症)による鼻茸(鼻ポリープ)などの症状や部位の確認。副鼻腔から鼻腔に詰まったときに、硬性ファイバースコープで患部を観察しながら処置する簡単な手術も行います。
咽頭ファイバースコープ
咽頭と声帯、気管それと隣り合わせた食道を守備範囲とし、魚の骨が引っかかってしまったときの部位の確認や除去。
声枯れの原因となる声帯ポリープや声帯腫瘍、声帯麻痺の確認などを行います。また声帯麻痺を確認したとき、脳梗塞など耳鼻咽喉科領域を超えた疾患の発見につながるケースもあります。
まとめ
細い管状でしなやかな動きが可能なファイバースコープは、耳鼻咽喉科の領域では検査や簡単な手術にも用いられる優れものです。
しかしその扱いについては、衛生管理を徹底させることが重要です。
それは病原菌の感染を防ぐためであり、洗浄には予備洗浄と自動洗浄を行います。患者さんへの負担を最優先に考え、衛生的で安全な取扱いを行いましょう。