人工呼吸器の高圧アラームおよび低圧アラームについて

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

人工呼吸器に備え付けられたアラームが作動する理由としては「換気の維持ができていない」「患者さんに何らかの異常が発生した」「機器に異常が発生した」といったことが考えられます。
以下では、アラームの中でも高圧アラーム・低圧アラームが作動した場合について、考えられる原因と対応などを見ていくことにしましょう。

高圧アラーム

高圧アラームは「気道内圧上限アラーム」とも呼ばれ、気道内にかかる圧力があらかじめ設定された範囲内を超えた場合に作動します。
高圧になる(気道内圧が上昇する)原因としては次のようなものが考えられます。

分泌物がたまっている

気道内の分泌物(痰など)がたまっている可能性があります。
この場合には、聴診の後、分泌物の吸引が行われます。

同調していない

咳や何らかの原因により、自発呼吸のタイミングと人工呼吸器の換気が同調していないかもしれません。
このようなときには、人工呼吸器の設定を変更して対応する場合があります。

肺が膨らみにくくなっている

肺の膨らみやすさ(肺胸郭コンプライアンス)が低下していると、気道内の圧力が高
くなることがあります。
この場合には、一回あたりの換気量を減少させたり、圧規定換気と呼ばれる方法に切り替えて肺を保護する対応がとられたりします。

機器の異常

人工呼吸器の回路に水分がたまったり、回路がねじれたり折れ曲がったりしている可能性も考えられます。
このようなときには、水を除去したり、機器の位置を調節して回路がねじれたり折れ曲がったりしないように対応がとられます。

低圧アラーム

このアラームは、別名「気道内圧下限アラーム」ともいい、高圧アラームとは逆に気道内の圧力があらかじめ設定された数値に到達していない場合に作動します。
低圧になる原因としては、以下のような状況が考えられます。

機器の異常

「呼吸回路の一部に緩みが生じて外れかかっている・外れている」「チューブに亀裂などが発生している」「付属の部品が外れている」などの理由により、患者さんへ送られる空気が不十分となっている可能性が考えられます。
このような場合には、速やかに人工呼吸器のチェックをする必要があります。

吸気努力の強度が上がった

患者さんの吸気努力の強度が上昇すると、人工呼吸器から流れ出てくる空気を吸う速度が向上するため、気道内圧が低下することがあります。

その他の原因

上で説明した原因以外にも、患者さんの状態が改善して肺の膨らみやすさ(肺胸郭コンプライアンス)が向上した場合や、人工呼吸器の設定が不適切な場合なども、低圧アラームが作動する原因となることがあります。

最後に

今回説明したアラーム以外にも、人工呼吸器にはさまざまなアラームが備え付けられています。
いずれの場合にしても作動したときには、看護師などの医療関係者が迅速に患者さんの安全を確保したうえで、原因を確認し対応を行います。

ピックアップ記事

関連記事一覧