CT装置の特徴とは?

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

CT(Computed Tomography)装置は、X線を利用して物体内部の画像を得る検査装置です。医療現場にあるイメージが強いですが、産業の領域などにおいても幅広く利用されています。
今回は、このCT装置の特徴について見ていくことにしましょう。

CT装置ってどんなもの?

レントゲン検査はほとんどの人が受けた経験があると思いますが、CT装置ではこのレントゲン検査と同じくX線が使われます。
X線は人間の目で見ることが不可能な波長の短い電磁波(光)で、物質を透過することができ、その透過性は物質の密度や原子番号の大小によって異なってきます。

人間の身体を作っている筋肉や臓器、骨など体内の組織は部位によって密度や平均的な原子番号が異なります。なので身体を透過させたX線を専用のフィルムにあてれば、体内の様子を画像化することができるわけです。
これがレントゲン写真の原理です。

一方、CT装置では身体を透過したX線を単純にフィルムへ写し出すのではなく、透過率をコンピュータで解析し、それを画像化します。
なお以前はCT画像といえば、人体を輪切りにした画像(横断画像)がほとんどでした。
しかし、現在では技術の進歩によって「マルチスライスCT」が開発されており、任意の角度による断面像や3D画像なども得ることができるようになっています。

CT装置の特徴

CT装置の特徴として第一に挙げられるのは、得られる画像の空間分解能(簡単にいえばどれだけ細かくその部位を観察することができるかということ)が高いということです。
CT装置では数mmあるいは1mm以下の細かさに加えて、さまざまな角度の画像を得ることができるので、レントゲン検査では判別できないような病変や症状の変化をとらえることができるのです。

それに、骨・肺・気管支あるいは脳内の出血状態などを画像化することに関しても、MRIなどと比較すればCTのほうが優れています。
また、MRIとの比較でいえば、撮影に要する時間が短くて済む(MRIでは30~60分、CTでは5~15分)というのも、CTの長所といえます。

なお、CTの短所としては、X線を使用することによる「被ばく」が挙げられます。
しかし実際にCT画像を得る際に使用されるX線の量は、身体に影響を及ぼす量に比べてはるかに少ない量となっていますので通常は心配ありません。
ただし、妊娠中の場合は胎児への影響を考えて避けたほうがよいこともありますので、医師に相談したほうがよいでしょう。

最後に

CT装置といえばよく比較されるのがMRIですが、それぞれに一長一短があり、一概にどちらが優れているということはできません。
実際の医療現場でも、部位や症状、検査の目的に応じて使い分けられることが多くなっています。
一般的に胸部(肺・気管支など)や腹部(肝臓・腎臓など)、頭部の内出血、骨などの場合はCTがよく使われます。
一方、脳・下腹部・四肢の病変に関してはMRIが使用されることが多いようです。

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