体内の状態を診るCT装置とは?
円筒状の装置の中に入った被検者の身体内部を、断面図化して表すことのできるCT装置。この装置はどのような仕組みからなり、医療的にどのような場面で活用されるのか、また使用する際の注意点はなにか、などといった点をいま一度基本に戻って振り返ってみましょう。
CT装置の概略的な仕組み
CTとはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略称です。大別するとX線撮影の一種に含まれ、レントゲン撮影と同じように被検者の身体にX線を照射し、その像を検出することで体内の状態を診る検査法に当たります。
もう少し具体的に解説しますと以下の通りとなるでしょう。
被検者が入る円筒状内部の外側に、X線管球と検出器が向かい合うように配置され、それらを約0.3秒間に一回転程の速度で回転させることにより、360°方向から被検者の身体をX線撮影していきます。そこから得られたデータをコンピュータ解析し、身体のさまざまな部位を輪切りにしたような断面図が作り出されます。これにより、実際に身体を切開することなく人体内部を観察することができるのです。
また、検査前に造影剤という薬剤を静脈注射する場合もあります。これを用いずにCT検査を行うことも可能ですが、造影剤を使用すれば検査精度がさらに高まり、体内の状態をより詳細に把握することができます。
CT装置使用の目的
検査の際、体内を直接診ることができればそれに越したことはありません。しかし、検査のためと言って、その都度患者さんの身体を切り開いていたのでは、逆に患者さんに命の危険と重大なダメージを与えしまうことは言うまでもないでしょう。
ですが、CTを用いれば患者さんに重篤な負担をかけず、その体内を直接診るのに近い状態で検査することが可能となります。病状に即した精密検査や手術前検査、手術後あるいは抗がん剤使用中の経過観察、炎症等の有無確認など、CTの用途は多岐に渡ります。
体内の状態を視覚的・直接的に調べる必要がある場面において、非常に有効な手段の検査法であると考えて差支えないでしょう。
CT装置使用の際の注意点
有用な検査であるとはいえ、CT検査は人体に危険性のある放射線すなわちX線を使用します。定められた操作手順や注意事項を遵守し、被検者が放射線を受けて問題ない状態であるのか等も事前の問診や診察などで確認しつつ、安全を確保した上で行われなければなりません。
また、検査の妨げとなるのを防ぐため検査時は金属類を着用しないこと、検査中動かないようにすること、胃に内容物が残らないよう検査前の規定の時間内は食事を摂らないこと、などを被検者に守ってもらう必要があります。
まとめ
以上のように、CT装置は被検者の全身を360°方向からX線撮影し、そのデータのコンピュータ解析から身体断面図を作り出す検査機です。それによって、体内を直接診ることに近い観察が可能であり、医療においてその用途は多岐に渡ること、X線使用による危険性と検査の妨げを防ぐため、守るべき注意点があることについて見てまいりました。おおまかではありますが、CT装置およびその検査について振り返ることができたかと思います。