MRIを利用した撮影や検査時間
MRIとは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略称で、磁場と電波の作用で人体を構成している水分(水素原子)の情報を画像化する機器です。脳や脊髄の疾病、脳の萎縮や鑑別診断などに用いられ、基本MRI検査には20分~1時間程かかります。今回は、なぜMRIは長時間の検査なのか、どのようなメリットがあるのかなどを解説していきたいと思います。
長時間検査の理由
CTやレントゲンと違い、かなりの時間を要するため「撮影中は頭を動かさないようにしてもらう」「何度も呼吸を止めてもらう」というように、検査を受ける方に負担を強いる場合もあります。
人体は70%の水分でできており、MRIは人体の水分から断層を撮影し、データを複数重ね合わせ診断します。大量の水分からデータを収集するには、時間がかかります。これに重ねて、撮影する部位によって撮影条件や撮影方向を変え、更に何種類も撮影をします。このように、精度の高い画像を撮影するためには時間がかかってしまいます。
傾斜磁場コイルによる騒音
MRIに搭載されている傾斜磁場コイルに電流を流すことにより、強力な磁場と磁力が発生します。検査では磁場だけを利用しますが、必然的に不要な磁力が発生します。この磁力が傾斜磁場コイルを伸縮することで振動が発生します。
これはスピーカーが振動する原理と同じで、検査時に大きな騒音が発生してしまいます。検査中は磁場を発生させる為のスイッチを高速で切り替えるため、騒音も連続して聞こえるので耳栓をしてもらうこともあります。
MRIを使用するメリット
MRI検査は騒音や長時間検査といったデメリットがありますが、横だけでなく多方向の断面図にも対応しているといった高い利便性があります。
精度に関しても肝、胆、耳、咽喉など汎用性に優れており、磁場と電波による検査は骨や空気の影響を全く受けないため、特に神経や脊髄、脳や筋肉などの軟部組織や脳や脊椎、子宮・卵巣といった、頭蓋骨や骨盤がある部位でも精密な撮影ができるというメリットがあります。
レントゲン撮影やCT撮影と違い放射線に被爆することも無く、MRIの注意事項を守りながら検査を受けられます。
まとめ
ペースメーカー、脳動脈クリップやステントといった金属を入れている方は検査が受けられないことや、検査中に気分が悪くなることを考慮し、インターホンが設けられています。
まだ発展途上の箇所もありますが、MRIは脳ドックやがん検査など現代医療の医療現場に欠かすことのできない検査の一つとなっています。最近はコイル内を真空にし静音性を高めた機器も登場していて、安心した検査を実現する上で、非常に注目すべき分野と言えるでしょう。