ファイバースコープを用いた副鼻腔炎の発見
ファイバースコープの技術の向上は様々な病気の発見に役立ってきました。鼻の病気の発見もそのうちの一つです。ここでは、ファイバースコープを用いた診察で発見が容易になった副鼻腔炎を中心に語っていきます。
鼻の構造と役割
鼻は、鼻腔と副鼻腔によって成り立っています。頭蓋骨の中には多くの空洞があり、鼻の周囲にあるものを副鼻腔といいます。副鼻腔は篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞、前頭洞の4つに分かれており、眼や脳と隣接しています。
鼻腔は鼻中隔で左右にわかれています。上甲介、中甲介、下甲介と呼ばれる粘膜に被われたひだがあり、その隙間を空気の通り道になっています。鼻腔、副鼻腔それぞれの内側はせん毛の生えた粘膜で被われており、分泌物などを排泄しています。
鼻の役目は、
・吸入した空気を温める
・吸入した埃などを湿った粘膜に付着させて除去する
・空気に適度の湿度を与える
・空気とともに運ばれた匂いを感じる
などの機能を持っています。
鼻の病気の診断には、副鼻腔の状態や機能障害の程度を知るためにいくつかの検査を行ない、ファイバースコープなどを用いて、鼻腔の病気の状態を観察していきます。
鼻の中は狭く奥行きがあるため、肉眼では確認することが出来ません。鼻の中を奥まで詳しく診るためにもファイバースコープが必要となるのです。
鼻を診察するファイバースコープのうち、硬性の内視鏡は視野が広角ですので、鼻の手前から中ほどを診察することに向いています。一方、先端が細くてよく曲がる軟性のファイバースコープは、鼻から喉までを詳細に見ることが出来ます。
鼻の病気とファイバースコープ
蓄膿症とも呼ばれる副鼻腔炎は、鼻腔周囲の骨内の空洞である副鼻腔に炎症がおきる病気です。膿が副鼻腔にたまっている状態のことを言います。
症状としては、風邪症状の後、鼻炎がひどい、鼻の周りの痛み、目の痛み、頬が痛い、頭痛や頭重感、集中力の低下、黄色い鼻汁、鼻づまり、分泌物が鼻腔の奥から喉にたれてくるなどがあげられます。
治療の流れとしては、初診時には、膿の流出がないか、鼻茸はないか、ファイバースコープで鼻の中を診察していきます。「鼻茸」とは、鼻の奥の「副鼻腔」というところの粘膜が腫れて垂れ下がり、キノコのようになっている状態をいいます。1個だけの場合もありますが、たくさんできている可能性もあります。副鼻腔炎の診断には画像検査も重要です。単純レントゲンと併せて、ファイバースコープによる診察が必要なのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 鼻の病気、特に副鼻腔炎はファイバースコープの登場によって早期に発見されるようになりました。また、軟性のファイバースコープは先端が細くてよく曲がるため、鼻からのどまで詳細に観察することに向いていることがご理解いただけたかと思います。今後の医療活動にお役立てください。