心電図のQT間隔をみて不整脈を診断する

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心電図で心臓の異常・不整脈を知ることが出来ます。不整脈とは、心拍リズムの異常のことを言います。多くの場合、脱力感や失神などといった症状が出るまで不整脈に気づくことは難しいとされています。このような症状が出る前に心電図では、QT間隔を診て早期発見につなげていきます。

不整脈の原因と症状

不整脈の最も多い原因は心疾患で、冠動脈疾患、心臓弁膜症、心不全が多数を占めています。なかには先天性異常によって引き起こされるものもありますが、心臓の刺激伝導系の加齢による劣化が原因になるものが多いようで、過度の飲酒、喫煙、消化器系の異常、疲労、精神的なストレスなどによって誘発されます。

不整脈は、無害なものもありますが、生命の危機を起こすものまであり種類はさまざまです。生命の危機を起こすものであっても症状がなかったり、重い不整脈でなくても、重度の症状が出る場合もあったりします。

不整脈によって心臓の血流に異常がみられると、息切れ、脱力感、持久力の低下、めまい、ふらつき、失神などの症状が現れ、死に至ることもあります。

主な心電図の波形

・P波
心房の脱分極の総和です。別の言い方をすれば心房の収縮です。個人差などにより、小さい場合もあり、判別が難しいこともあります。P波のピークは、大きくても0.25mVで、高いものは異常ですが、低い場合は個人差と考えられるでしょう。

・QRS波
心室の脱分極の総和を意味します。QRS波の幅は、すべての心室筋が脱分極を完了するまでの時間のことを言います。ヒス束、脚、プルキンエ線維という一般的な経路で伝導すれば、速やかに脱分極が完了し、QRS波は短時間で終了します。正常では0.10秒までです。

PQ間隔とは

P波の開始からQRS波の開始までの間隔をPQ間隔といいます。心房の興奮開始から心室の興奮開始までの時間を指し、心房・心室間の伝導能力を示します。PQ間隔は各心拍で、一定なのが正常です。

また、この間隔が短いと房室間の伝導が速いと見なされ、間隔が長いと房室間の伝導が遅く時間がかかっていると見なされます。PQ間隔が短い場合は問題視する必要はありませんが、長い場合は異常だと判断します。0.20秒までを正常、0.21秒以上はPQ延長とします。

PQ間隔は、心房の興奮波が房室結節でペースダウンをしてゆっくり進むために見られます。そのPQ間隔が短縮するのは、房室伝導速度が上がり、心室にすぐさま伝導されたか、房室間に別の速いルートがあるかのどちらかです。

アドレナリンや交感神経の高揚で、房室結節の通過速度が上がれば、PQ間隔は短くなりますが、それでも0.12秒までと考えることが妥当です。房室結節・ヒス束の房室接合部以外の房室間ルートがあるとみてください。

まとめ

ここでは不整脈に関連するPQ間隔についてみてきました。心電図を読み解くことは容易ではありませんが、不整脈の場合、最悪死に至るものもあります。正しく読み取り、診断に用いてください。

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