ファイバースコープ保管庫に求められる条件とは

生体現象測定記録・監視用機器

体内の状態を調べる上で有効な役割を果たすファイバースコープ。人の命に関わる医療現場で使用され、構造的に特殊技術を用いている機器でもあるため、その取扱いは保管を含めて注意が必要です。そのファイバースコープの保管庫にはどのような条件が求められているのか、確認したいと思います。

ファイバースコープとは

医療用のファイバースコープは、内視鏡と同じように、人体内部の状態を目視する際に使用される医療機器です。
細く柔軟なケーブルを鼻や口など人体の開口部に挿入させることで、体内の様子を目視することができ、光ファイバーが持つ材質的特性を活かしてこれを可能としています。

光ファイバーはグラスファイバーとも呼ばれ、石英ガラスまたはプラスチックを加工して作られた糸状の素材です。曲がった状態でも、一方の先端から入った光をもう片方の先端へと伝達できる性質を持ちます。
光ファイバーは、コアと呼ばれる芯と、その外周部に当たるクラッド、これらを覆う被膜の3層構造によって構成されています。クラッドに対してコアの屈折率を高くし、光を中心部のコアに集中させることで、先端から取り込んだ光をもう一方の先端へと伝達する性質を生み出しているわけです。

光ファイバーの性質を踏まえ、一方の先端に写った光景を反対側の先端に伝達する仕組みに応用して作られたのがファイバースコープです。
数千または数万本の光ファイバーを束ねたケーブルに、一方の先端には対物レンズ、もう片方の先端には接眼レンズを取り付けた仕組みとなっています。
ファイバースコープのケーブルは直径数ミリ程度と細く、かつ材質そのものが柔軟です。そのため、小さな隙間から内部へと挿入させることが可能であり、消化器系や耳鼻咽喉部などの検査に利用されます。

ファイバースコープ保管庫が備えるべき条件

ファイバースコープの保管においては、その原理や用途、または医療機器であるという点を踏まえて、適切な条件でなされるべきと言えます。
保管庫の特徴としては、そのような条件を満たしていることが要求されるわけです。

衛生面の条件

まず重視すべき条件としては、医療機器としての衛生状態が確保されていることです。
使用後は入念に洗浄し細菌の付着を除去するのは当然ですが、保管中における細菌の繁殖抑止も重要です。有効な手だてとしては、細菌繁殖の主な原因とも言える温度および湿度の管理と言えるでしょう。

対策としては、ファイバースコープを吊るして保管し水分の切れを良くすることや、保管環境の適切な除湿が挙げられ、保管庫にもその機能が求められます。

また保管庫自体も良好な衛生状態を保持できなければならないため、保管庫内のこまめな消毒と、保管庫全体が清拭可能な構造となっていることも欠かせない条件と言えます。

機器構造の条件

保管中における機器の状態保護も重要な条件です。
ケーブル部の光ファイバーが破損しては、適切な検査が行えません。そのような事態を防ぐための手だてが保管環境に求められます。

光ファイバーの破損を防ぐためには、保管中ケーブルに曲げ・引っ張り・捩じり・潰れなどの力が加わらないようにすること、高熱源から遠ざけて保管することが挙げられます。

これを踏まえると、保管庫の条件としてファイバースコープの先端が底面に接触することのない充分な高さと、振動や衝撃に耐える安定性が要求されると言えるでしょう。また、保管庫の設置場所においても高温を避ける配慮が必要となります。

まとめ

以上のように、端から端へ光を伝達する光ファイバーの特性を応用し、人体の隙間から先端を挿入して体内の状態を見るための医療機器がファイバースコープであることを踏まえ、
その保管庫に求められる条件は、良好な衛生状態の確保と機器の破損の防止が挙げられることを確認してまいりました。

光ファイバーを内蔵するケーブルの長さなど、ファイバースコープの形状に応じて、適切な保管庫を使用することが肝要です。

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