脳波計検査の目的と方法を解説

生体現象測定記録・監視用機器

脳は神経系の中枢として運動や知覚を支配しするとともに記憶や感情、理性、言語などの高次脳機能を有し、非常に多くの役割を担っています。
脳には約140億個もの神経細胞があり、その神経活動によって弱い電流が流れ続けています。
この神経細胞から出される周期性の電位変動(弱い電流と強い電流の差)を「脳波」といいます。
この電位変動は頭皮の表面上において変化をしているため、頭部に電極を装着して増幅器によって電流を検知しやすいように大きくすることにより「波形」として記録することが出来ます。
この機器を「脳波計」といい、検査を脳波検査(EEG)と呼びます。

○脳波の種類
脳波には波長によって4種類に分類されています。
波長が短い順に以下の種類があります。
・β波(ベータ波)
・α波(アルファ波)
・θ波(シータ波)
・δ波(デルタ波)
波長が長いほど脳の活躍が活発になっています。
このように意識レベルや年齢によっても脳波は変化します。
睡眠は意識レベルが低くなるため波長が短くなり、さらに睡眠の深さによっても変化します。

○脳波検査の目的
脳波検査のほとんどは「てんかん」や「意識障害」を診断する目的に用いられます。
てんかんの特有である異常脳波はてんかん発作が出現していない状態でも出現することがあるため、脳波検査と頭部MRI、頭部CTなどの別の検査結果とも照らし合わせて診断をしていきます。
外部からの衝撃による脳挫傷や脳腫瘍であれば頭部CTに異常がみられますが、真性てんかんの場合は頭部CTには映りません。
このように様々な検査を行った上で鑑別をしていきます。
てんかんや意識障害の他にも脳波検査は脳腫瘍や脳血管障害、脳死判定にも用いられます。

○脳波の検査方法
通常、脳波計の電極は頭皮の上に設置して検査をしますが、脳表電極と呼ばれる開頭して脳の表面に電極を設置する方法もあり、こちらは脳腫瘍の術前前評価や重度のてんかんなどで用いられます。
通常の頭皮上電極の検査では、特殊な部屋の中でヘッドに仰向けに寝て21個ほどの電極をペーストと呼ばれる糊で取り付けます。
脳波を測定しながら目の開閉、深呼吸、光や音の刺激を与えて波形の変化をモニタリングしていきます。
睡眠中や薬剤を投与して検査することもあります。
頭皮上電極では侵襲的な処置も必要なく、痛みもありません。
検査時間は通常であれば30分程度掛かります。
注意としては電極を取り付ける際にペーストを使用するため、検査後に洗髪をする必要があります。

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