MRIの清掃の方法と事故防止に注意

生体現象測定記録・監視用機器

MRIの清掃においては、いろんな病気を持っている患者の利用も可能性があるので、感染防止や安全と清潔を保つ為にも、清掃の方法は、適正に行われなければなりません。また、MRIの特徴として磁力が発生しますので、医療以外での事故が発生しており、清掃を担当する場合には、安全に注意して遂行する事です。

清掃に使用する薬剤の注意事項

MRIは、磁気共鳴を利用して高周波の磁場を発生させる装置です。精密な医療機器の為に、扱い方だけでなく、清掃の方法にも注意したいものです。清掃に使用する薬剤なども使用に適しているか確認が必要です。

電波のアンテナRFコイルの場合

1.清掃の注意点
〇コイル内部の素子に対して、劣化や変形を避ける為に、コイルの本体を高温にする場合や、エチレン・オキシドガスを使用する事を禁じています。
〇揮発性のベンジンやシンナーは、樹脂部分に対して、変色や変形、劣化の原因になります。
〇コイルの表面は柔らかいクッション素材なので、強くこすらないようにします。

2.RFコイル清掃の方法
〇感染の恐れがある血液や嘔吐物の場合の清掃は、感染防止対策として防護用手袋を使用して清掃します。
〇コイルの表面の汚れを取る場合には、乾いた布で拭くようにします。
〇拭いても落ちない場合は、ガーゼに中性洗剤をしみ込ませて、強く絞り、汚れを拭き取ります。その後は、自然に乾燥させます。

磁石架台(ガントリ)、寝台、マットなどの清掃

1.注意事項
〇ヨードチンキは、アルコール消毒に強い為、使用を禁じています。間違ってこぼした場合には、専用のクリーナのみ使用します。また、メンテナンス会社に問い合わせて下さい。
〇アクリルの清掃にアルコールを使用すると、変質や劣化を起こしてしまいます。

2.ガントリ、寝台、マットなどの清掃方法
〇感染の恐れがある血液や嘔吐物の場合の清掃は、感染防止対策として防護用手袋を使用して清掃します。
〇消毒する度に防護用手袋を交換します。
〇エチルアルコールと水の割合は、7対3で使用します。ガーゼにしみ込ませて、強く絞り、汚れを拭き取ります。その後は、自然に乾燥させます。汚れが完全に拭き取れたか確認しましょう。

使用不可な薬剤について

1.次亜塩素酸ナトリウム
2.二酸化塩素
大部分の金属類は錆びる恐れがあるので、装置の内部に影響を与えて動作の不具合を生じさせます。プラスチックやゴム製品に対しては、劣化を進めて、機械に傷を付ける恐れがあります。

※使用前の確認は、必ず行って下さい。
薬剤を使用する場合には、必ず薬剤の使用上の注意を読んで、使用に適しているかの確認を行います。

汚れやすい点検の必要な場所

MRIの場所によっては、ゴミや汚れがたまりやすい構造になっているので、清掃や消毒においては、念入りに点検する必要のある場所としてチェックする必要があります。

1.ガントリの天板のローラーが走行する部分
2.マットレスや寝台の天板の部分
3.寝台のカバー部分
4.寝台の天板下部のカバーは、最前部に移動する事で点検を行います。
5.寝台のベース部分のカバーの点検

清掃における事故防止

清掃に使用する道具や、清掃担当者が身に付けている金属類が、MRIの装置に反応して吸着された事故が発生しています。その為、清掃に使う製品の使用や、身に付けた金属品を持ち込まないように念入りに確認する必要があります。

最初の内は、注意を怠らないのですが、経験者ほど慣れによって、うっかりミスにつながります。清掃員も、事故防止対策としてMRIの装置の部屋に入室する場合のチェックリストを用意して毎回確認するようにしましょう。

まとめ

医療用の機器は精密機械です。清掃の方法次第では、劣化や故障につながってしまいます。不特定多数の人が使用しますので、清潔感だけでなく、感染防止対策も考えた清掃の方法が求められています。強力な磁場が発生する場所なので、金属持ち込みによる事故にも注意しましょう。

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