ファイバースコープからCCDカメラへ
ファイバースコープ、CCDカメラはときに混同されがちですが、異なったものです。ここでは、おおよそ3期に分けられる「胃カメラ」の歴史をたどりながら、それぞれの違いについて紹介していきたいと思います。一緒に見ていきましょう。
胃カメラの歴史
「胃カメラ」の歴史を俯瞰した場合、おおよそ3期にわけることができます。
第1期が「硬性胃鏡」の時代で、金属製の管を胃の中入れ、先端に設えたランプの光をもとにして管の上方から観察するというものでした。これは苦痛も大きく、食道を突き破るなどの危険も伴うため、普及することはありませんでした。
第2期が「胃カメラ」の時代です。柔軟で自在なオペレーションが可能で、先端に小型カメラを備え付けた「軟性鏡」に変わり、内視鏡学が発展した時代でもありました。この胃カメラは、1950年日本において開発されました。
第3期が、ファイバースコープです。アメリカで開発された「グラスファイバー」はさまざまな分野で注目をあびました。内視鏡のフィールドでもいち早くこの素材を取り上げ、アメリカのハーショヴィッツらは曲がっていても光を先端から先端へその状態のままに伝えるガラス繊維の特性をとりいれることで、内視鏡として直接胃内を見ることに成功したのです。
こうしたことから医師がリアルタイムで胃内を直接見ることを可能にしたのです。しかし、この段階ではまだ画像を撮ることはできませんでした。画像を映し出せるようになったのは「ファイバースコープつき胃カメラ」が登場した1964年のことでした。
胃カメラの欠点がいっぺんに解決され、「ファイバースコープつき胃カメラ」では、胃内を直接マークできるうえ、動的な解析も出来るようになりました。一段と高度な質的診断の可能性が広がる画期的な器具として、多大な関心を浴びました。その後、次々に新しい発想、新しい技術、新しい材質の研究が進み、撮影も接眼部につけたカメラで行えるようになりました。1975年頃には、胃カメラの時代は終わり、完全にファイバースコープに入れ替わるようになったのです。
次に、ここ数年注目されている電子スコープです。電子スコープは、スコープの先端部分にCCDを搭載し、像をデジタル信号に変換後、ケーブルを通してモニター上に映像を映し出し観察しようとするものです。これを電子内視鏡と呼びます。視聴できるうえ、録画もできるようになりました。「写す」時代から「デジタル」時代へと移り変わっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。技術の進歩に伴い、ファイパースコープ、CCDカメラと進化してきました。医療技術の発展とともに、より詳細な情報を手にすることができたのです。また歴史をたどると、いかに患者に負担をかけまいとしてきた技術の進歩をうかがうことができます。違いを把握して患者に負担のないよう努めていきたいものです。