人工呼吸器の知っておくべき観察・確認項目とは?

生体現象測定記録・監視用機器

人工呼吸器とは、自発呼吸全くない、あるいはわずかに自発呼吸が可能であるが換気が十分ではない状態にある方に対して、肺に空気を送り込むと同時に対象者の状態をモニタリングする機器です。
気管チューブなどで人工的に気道を管理する「侵襲的換気法」と、マスクを使用して管理をする「非侵襲的換気法」があります。
人工呼吸器の数値やモード設定は医師が判断をしますが、人工呼吸器は基本的に24時間365日使用する機器であることから、医師がいない時間帯においても管理が必要であるため、看護師などの医療従事者、機器販売(リース)業者、ご家族もある程度の知識をもっておく必要があります。

○人工呼吸器の設定
人工呼吸器の設定や観察はさまざまな項目があります。
患者様の状態や機器によって項目は異なってきますが、代表的な観察項目をご紹介します。

●モード
人工呼吸器のモードは患者様の呼吸をどのように補助するかによって大別されます。
自発呼吸よりも人工呼吸を優先させる場合はA/CまたはSIMV(同期式間欠的強制換気)を選択、できる限り自発呼吸を残したい場合にはCPAP(持続陽圧気道圧)またはSIMVが選択されます。
モードの設定は医師が行うため、機器の設定が合っているかを確認します。

●換気の設定
一回換気量、回数、回路内圧の設定値および現在の値を確認します。
それと同時に回路が適切に接続されているのかを確認します。

●アラーム音・履歴の確認
アラーム音の設定と直近におけるアラーム履歴を確認します。

●カフ圧の確認
吸引後、カフ圧計にてカフ圧が適切な値になっているのか確認する。
(常時20~30cmH2Oの間)

●圧トリガ・フロートトリガ
圧トリガとは、患者様の吸気に伴う回路内部の圧力低下を「自発呼吸」と認識します。
フロートトリガとは、患者様により吸気により回路内部の定常流が減少したことを「自発呼吸」と認識します。
ふたつのトリガの感度を調節することにより、自発呼吸を適切に認識できるように設定を行います。
トリガの感度が高すぎると、わずかな振動も自発呼吸と認識されてしまう様になり、逆に感度が低すぎると自発呼吸の認識が遅れてしまい、患者様の負担が大きくなってしまう(過剰な努力吸気が起こる)危険があります。
観察項目としては、患者様の呼吸と人工呼吸器の送気が同調しているのか観察する必要があります。

●呼気終末陽圧レベル(PEEP:Positive end expiratory pressure)
PEEPとは、呼吸終末時に肺胞内を設定した陽圧に保つことによって酸素化を改善し、呼気時に起きる肺胞の虚脱や肺の損傷を防ぐことを言います。
PEEPの設定は医師が行いますが、機器の設定が定められた値になっているかどうかの確認を行います。

ピックアップ記事

関連記事一覧