血圧計はペースメーカーを使用している場合でも問題なく使えるか?
血圧計は人間の正常な状態を知る手立ての1つです。その血圧計は患者がペースメーカーを使用している場合も問題なく計測出来るのでしょうか。あるいは何らかの影響が出るのでしょうか。そのことについてご紹介します。
血圧計はペースメーカーに影響するのか
血圧計がペースメーカーに影響を与えるのでしょうか。ペースメーカー自体は何をする器具なのでしょう。ペースメーカーについて述べた後、血圧計に影響はないのかについて書きたいと思います。
ペースメーカーとは、「不整脈」の治療で使われる器具です。この不整脈は、心臓の動きが乱れると心臓から送り出される血液の脈もまた乱れます。この脈の乱れのことを「不整脈」と言います。不整脈には二つのものがあり、【頻脈性不整脈】と呼ばれる脈拍や心拍が速くなる「不整脈」と、【徐脈性不整脈】と呼ばれる脈拍や心拍が遅くなる「不整脈」があります。
ペースメーカーが必要になるのは、洞不全症候群または房室ブロックという心疾患です。心臓は基本的に電気信号で動いている器官です。心臓の発電機となるものが「洞結節」であり、発電された電気を流す送電線が「房室結節」です。これらの部分が、発電出来なくなったり送電に支障が生じたりして不整脈は起こります。
ペースメーカーは発電の調子の悪くなった洞結節に代わり、人工的に発電したり電気信号を送ったりして心臓を正常に動かす働きを担っています。この器具は、通常利き手と反対側の胸部皮下4~6センチ位の所を切開して埋め込まれます。ペースメーカーは体外からの電気や電磁場の影響を受けます。このため心臓ペースメーカーを使用している方は、主治医や当該病院にそのことを伝えなければなりません。
血圧計に影響は?
通常ペースメーカーが入っている患者に対しての血圧計使用には問題ありません。確かに血圧計内部にはモーターや電子回路などを使っているので、家庭電化製品と同様に若干磁力が出ています。しかし、出力レベル的には低いため人体に影響はほとんどありません。様々な医療メーカーから血圧計は出されていますが、EMC規格を満たしている血圧計は更に、医療器具に影響するような電磁波は出していませんので安全にご使用出来ます。
血圧計で注意すべき点
ペースメーカーの異常を早めに気づく為にも、血圧計での記録だけでなく、看護師が測定するように「人差し指、中指、薬指の3本を合わせて」手首の親指側に触れて1分間で触れた脈の回数を測定する習慣をつけましょう。また、血圧計にもいろいろな機器があるので、医師に悪影響がないかをご相談をし、利用していただくと安心です。
ペースメーカーのリードのずれなどで正常に作動しない場合があるので、血圧計だけでは正常値を計る事は出来ない場合もある為です。これ以外にもめまいや失神などの症状が出現した場合に、血圧計の測定方法を比べてみましょう。
血圧計の関係で重要な事は、血圧計が正常でもペースメーカーの異常も疑い、定期的な医師の診断が必要だと言う事です。
EMC規格について
EMCとは【Electromagnetic Compatibilityの略】で電磁両立性と言われています。これは電磁妨害を起こさず、また影響を受けたとしても妨害に耐えて機能する装置やシステムの能力を示すものです。医療用電気器具を安全に使用出来るため、他の機器から発生する電磁波から受ける影響を一定以下に抑える様に定めた規格です。
平成19年4月からEMCの規格の適合が、全ての医療機器に義務づけられるようになり、規格を満たしていないと製造や販売が出来なくなっています。現在販売されている血圧計は、この規格が適用されているものだと思います。
まとめ
血圧計から微力な磁力は出ていますが、患者のペースメーカーには影響を出さず測ることができます。また、これから血圧計の購入をお考えの方は、EMC規格の器具をお勧めします。今回血圧計はペースメーカーに影響を与えるかについてご紹介しました。