【心電図】右室肥大の特徴的な波形とは?
心肥大とは、心臓の筋肉が通常よりも肥大している状態をさし、心筋重量も増加します。心臓から血液を送り出す際には心筋が収縮・弛緩しますが、何らかの原因で血液を送り出すために通常よりも高い負荷が掛かってしまうとより心筋のパワーが必要となるために心筋が肥大してきます。
○心肥大の原因
心肥大の原因としてよく知られているこが「高血圧」です。
高血圧によって心臓へ流入する血液量が多くなることにより、血液を拍出するために大きなパワーが必要となるため、心筋の肥大が起こります。
また、心臓弁膜症や筋ジストロフィーといった病気でも心肥大が起こることがあります。
心肥大が起こると心臓の拡張が不十分となり心臓の機能が低下します。
軽い運動でも息切れが起きたり、疲れやすいといった自覚症状が現れます。
また、生理的な原因としてスポーツによって心肥大がみられることがあります。(いわゆるスポーツ心臓)ただし、スポーツによって心肥大になることは非常に稀で、運動を習慣にしている方やアスリートすべてがなるわけではありません。
また、スポーツをやめると心臓は徐々に元の大きさに戻っていきます。
注意点としては、スポーツやめても元の大きさに戻らなかったり、激しいスポーツを長期間にわたって行っていないにも関わらず、心肥大が起こっている場合には病的な心肥大を疑います。
○心肥大・心拡大の種類
心肥大は、肥大している部位が主にどの箇所で起こっているのかにより種類が分類されています。
具体的には左心室肥大、右心室肥大、両室肥大、心房肥大などがあります。
また、肥大の起こり方によっても分類されており、心臓の内部に向かって肥大している状態(心臓自体の容積はそのまま)を求心性肥大、心筋の肥大とともに心臓が拡張している状態(心臓自体の容積が増大)を遠心性肥大と言います。(心拡大とも呼ばれます)
○心臓の検査
心肥大・心拡大が疑われる場合、一般的には心電図と胸部レントゲンで心臓の状態を調べます。
特に心電図では特徴的な波形を示します。
●右心室肥大の特徴的な波形
右心室肥大はV1(右心室に近い)に変化が現れます。ST低下(右下がり)が特徴的です。
●右心室拡大の特徴的な波形
右心室の興奮時間が延長するため、S波の後に再びR波が現れるという特徴的な波形となります。
●左心室肥大の特徴的な波形
左心室肥大では心室の心筋量が増大するため、R波(心室に対応する誘導)が増高します。
加えて、のST低下(右下がり)、陰性T波が特徴と言えます。
●左心室拡大の特徴的な波形
左心室拡大では、V5・V6において増高したR波に加えて、T波の増高がみられます。状態が進行するとST低下、陰性T波がみられる様になります。