心電図検査における、筋電図の混入について

心電図の検査を行う際に気を付けるべき点として、記録の妨げとなる要因をできる限り最小限に抑えることが挙げられます。しかし現状では、筋電図の混入などといったトラブル発生のリスクが伴うことでしょう。それについてどのような対策を講じるべきか見ていきたいと思います。

筋電図の混入とその原因

心電図の検査を行う際、振動が細かく不規則な動きが認められることがあります。その主な原因の1つに、心臓以外の筋肉緊張を心電計が検知することによって生じるものが挙げられます。それが筋電図の混入に相当する現象です。

それ以外にも、交流障害やゼロ線の動揺といった原因も考えられるでしょう。いずれにしろ心電図検査においてこれらの現象は、正常なデータを得る上で回避すべき不適切な動作として認識されています。

心電図上に不規則な微細振動が継続的に現れる際、切り替えスイッチをCALやSTD、もしくはINSTに変えるなどの対処法が取られます。それでも消失しない場合は、心電計そのものに異常があると考えられるでしょう。機械が温まることで消えるケースもありますが、一時的な改善に過ぎません。細かな振動が絶え間なく続く状態が見られる場合には、業者へ修理を依頼することが適切と言えます。

混入に対する特徴

心電図を記録する際に不定期的に混入する筋電図。それは別名・アーチファクトとも呼ばれ、筋肉が無意識的に動いてしまうことが主な要因となり発生します。概ね高齢者の方に多く見られ、若い世代の方に関しては、その傾向はあまり生じません。

高齢者の方は、身体の震えなどといった無意識的な動きである老人性振戦が起こりやすい特徴を有します。それによって検査時に筋電図が生じやすくなるわけです。
この老人性振戦などのように検査に際して無意識的な筋肉反応が生じる場合、そのきっかけとなっている要因があると言えるでしょう。それには、寝台からの足首や手首のはみ出し・衣類による手首の締め付け・室温低下・検査を受けている方の緊張などが挙げられるものと推察されます。

その他の心電図の妨げとしては外部からの電磁気的ノイズや、接触不良などにより機器自体から生ずるノイズなどが挙げられます。その影響は一般的な標準12誘導心電図よりも微小な電気反応を見る加算平均心電図において強く現れます。

どのような対策を講じるべきか

心電図における心臓の運動以外に起因する波形の混入について、様々な要因が挙げられます。その中で、筋電図混入に関する対策について見ていきたいと思います。

検査を受ける方が緊張することについての対策としては、心電図検査の開始を告げずに測定を開始する方法が挙げられます。本人が気付かないうちに検査を行うことで、比較的緊張がほぐれた状態で測定できるというわけです。
また、中には検査によって電気的なしびれなどが起こるのではと不安を抱いている方もおられるでしょう。検査は無感覚で行われる旨を事前に説明することで、その種の緊張を抑える効果が期待できます。

検測用の寝台や衣服類についてはゆとりのあるタイプを使用すると良いでしょう。衣服は手首を締め付けない程度、寝台は手足などがはみ出さない大きさを用いれば、手首の締め付けや寝台からの手足のずれに伴う筋電図発生を抑えられます。
また、室内温度を適温に保つこと、検査前にお手洗いを済ませておいてもらうことなども、対策の一環に当たると言えるでしょう。

まとめ

心電図測定における筋電図の混入の原因は主に無意識的な筋肉の動きであり、それ以外にも高齢者の方における老人性振戦などが発生の要因とされています。緊張を和らげるための事前説明などがその対策となっているわけです。

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