心電図の基準値を知って正しい読み方を身に着けよう!
心電図は循環器領域に限らず、内科領域の診断に欠かせない検査です。レントゲンや採血とならび、病院の健康診断や診察で施行される頻度が高い、一般的な検査になります。今回は心電図の基準値を知り、正しい読み方を身に着けていきましょう。
心電図とは
心臓は電気活動により、電気の流れでポンプとして作用し全身に血液を送り循環させています。そして、その電気を心臓の動作指令として送っているのが洞結節になります。1分間に70回前後、繰り返し電気刺激を発生しこの感覚により心臓の心拍(拍動)の速さが決まります。
洞結節で起きた興奮刺激は心房が引き締まって縮まり、心房内の心筋を通り房室結節へ伝わります。さらに房室結節からヒス束、左脚・右脚、プルキンエ繊維へと順々に伝わり、心室の収縮が起こります。これらの心筋の電気的変化を、規定の身体箇所に装着した電極を通じて検出し、図形として記録したものが心電図です。
心電図のチェックポイント基準値を知ろう
心電図には個人差があり健常な方でもそれぞれ違います。体型・心臓の位置・性別・年代によっても影響が出るのです。おおよその心電図判別の流れは次の通りです。
まず不整脈がない事をチェックし、P波・QRS・ST・T波・U波の形に特異がないかどうか調べます。続いて、各心電図の横軸すなわち時間軸に関連する値が正常かどうかの確認を経て、心電図の正常あるいは異常が判定されるのです。
これを具体的に示し、かつ異常の有無を見る手順としては、以下の通りとなります。
1. 各心拍でU・T・QRS・Pの各波が一定のリズムで出ているかを確認します。(不整脈の有無)
2. 洞調律かを確認します。(Ⅰ、Ⅱ、aVF、V2~V6のP波が陽性かを見極めます)
3. 時間軸の異常を確認します。
〇P波の幅は0.1秒以下かチェックします。
〇PQ間隔は0.20秒未満かチェックします。
〇QRSの幅は0.1秒以下かチェックします。
〇QT間隔は短縮や延長がないかチェックします。
4. 各波形の高さに異常がないか見極めます。
〇P波の高さが0.25mV未満かチェックします。
〇Rの高さは高くないか(右室や左室の拡大・肥大の有無)
〇T波の平低や増高の有無を見極めます。
〇U波の増高や陰性U波はないかチェックします。
5. 各波形の形態に異常の有無を見極めます。
〇P波(陰性波や2峰性もしくは尖鋭増高の有無)
Ⅲ、aVLのP波について、陽性・陰性・2相性など様々な形状を取るケースが平常時にも見られます。
〇QRS波(結節や分裂の有無)異常Q波やデルタ波の確認をします。
〇T波(陰性・2峰性・2相性・平低の確認をします。)
Ⅲ、aVL、aVFにおいて、正常でも軽度の陰性Tや平低Tが受容されます。
6. STに異常はないか確認をします。ST低下やST上昇の有無の確認です。
7. 右軸偏位を暗示する傾向(ⅠでR<S)が見られないか確認します。
〇左軸偏位の疑い(aVFでR>S)がないか確認します。
〇右室肥大などの可能性(V1でR>S)がないか確認します。(V1でR>S)
R≒Sの誘導(胸部誘導の移行帯)がV3付近にあるかを確認します。
まとめ
今回は心電図の基準値を知る事と、正しい読み方について見ていきました。心電図は、読みを苦手にしている方も多い事でしょう。基本のチェックポイントと、基準値を知る事で理解が深まると思います。今回の内容が参考になれば幸いです。