心電図で読み取る心房細動 ~医療用と家庭用心電図計の違いについて~

生体現象測定記録・監視用機器

心房細動は不整脈の一種です。心電図の基礎をご紹介し、心電図から何をどう読み取り心房細動と判断するのか、それぞれの波形の解説をします。心電計の利点と心電図自動診断の限界についてご紹介します。

心電図の構造と波形

心電図の基本知識を振り返りましょう。心電図は心臓の動きを体表面から読み取り、心電計内部の「増幅器」と「記録器」によって成り立つシンプルな構造で出来上がっており、記録器で記録された心電図波形は、以下の波形によって成り立っています。

●P波→心房の興奮を示します。
●QRS波→3つの波形で心室の興奮を示します。
●T波→心室の興奮が収まっていく様子を示します。
●U波→T波の後に、まだ解明されていないU波が現れます。

以上の波形をまとめて1つの心臓の動きとし、周波がどのようなスピードで繰り返されるのかを見ていきます。「乱れは無いか・興奮しすぎていないか・止まっていないか」などを、視覚的に判断する生体現象測定記録・監視用機器として用いられています。

心房細動について

心臓にはそれぞれ「右心房・右心室・左心房・左心室」の4つの部屋が存在します。心房→心室の順で連動しそれぞれの場所から電気信号が出て、一定のリズムで心臓が動いています。「心房細動」は洞穴節以外から異常な電気信号が発生し、無秩序に心房全体が細かく激しく震えるように興奮する状態になってしまいます。

心臓を構成している部屋のうち、心房内の血流が停滞すると心房内血栓が形成されます。血栓が大きいと太い血管で詰まってしまい、その先の組織や細胞にもダメージを与えてしまいます。この血栓が血流に乗って頸動脈へと流れて、脳血管を詰まらせると「脳梗塞」が発生します。そのため心房細動は、心不全や脳梗塞の原因疾患として重要です。

心房細動が生じた際にあらわれる症状は「動悸・息切れ・めまい」などが多く、患者さんが自分で脈の乱れに気付くようなこともあります。

心電図計の利点

心電図は比較的コストが掛からず安価で、循環器内科だけではなくあらゆる規模の医療機関に常備されつつあります。また、術前後の経過判定や評価、薬効の副作用による評価など、色々な場面で用いられ万能な医療機器として活躍出来るのが利点と言えるでしょう。

●医療用心電図計
大型なものから小型なものまで用意されおり、自動診断や分析を行うものまで用意されています。主な使い道として、以上の項目で紹介した手術前後の評価、薬効の効果や副作用の評価、健康診断の項目として用いられます。

●家庭用心電図計(ホルター心電計・イベント心電計)
比較的コンパクトな物が多く、デジタル表示(または表示のない物もある)でペーパーレスのものが主流です。異常を感じた時に咄嗟に記録出来るような物が多く、不整脈を持っている方が主に所持をして記録・提出用として用いられています。自動診断付きの物もあります。

心電計自動診断の限界

「自動診断」が付いたものがあるとご紹介しましたが、これにはやはり限界があることを覚えておきたいと思います。

自動診断の判断基準は「波形のみ」としています。心臓の病気診断は、患者本人が訴える症状や時間帯・臨床的な観点からも診断が必要になります。波形のみを参照している自動診断に頼りきりではなく、医師の見解が必要不可欠です。

まとめ

心房細動は誰にでも起こる可能性があります。安価でコストが掛からず、家庭用としても所持している人が増えた心電計。その中には「自動診断付き」の物もあり、安易な自己判断には限界があると言えるでしょう。

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