心電図検査と電極の取付位置
心臓は人が寝ている間も、活動している時も常に動いています。そして自ら電気信号を発しています。この電気信号の向きと時間の長さを記録する事で、その時々の心臓の状態を詳しく知ることが可能です。今回は心電図と取り付ける電極の位置について解説します。
心電図の種類
心臓の様子を知ることが出来る心電図にも、いくつかの種類があります。最も一般的な心電図は12誘導心電図(じゅうにゆうどうしんでんず)と呼ばれる物です。これは病院などの医療機関で、被験者に寝台の上に仰向けに寝てもらって検査を行う物です。
12誘導心電図の内、手首、足首に計4つの電極を付け、心臓の発する電気信号を捉える検査を肢誘導、胸部に取り付けた6つの電極で心臓の発する信号をとらえる検査を胸部誘導と呼びます。
ホルター心電図とは?
一般的な12誘導心電図が、ベッドに仰向けに寝かせた被験者を短時間観察するのに対して、ホルター心電図は、軽量、小型の装置を24時間、患者に携帯してもらう事で、普段の心臓の状態を詳しく観察することが出来るのが特徴です。
ホルター心電図を使う事によって、動悸や息切れをした時、胸に痛みを感じた時などの心臓の様子を知ることが出来ます。これにより不整脈や、虚血性心疾患を確実に診断する事が可能です。
ホルター心電図の電極装着位置
ホルター心電図を使用する際の主な電極装着位置は、次に挙げる通りです。
【NASA】
プラス極:鎖骨の間辺り。
マイナス極:みぞおちの下辺り。
G:右わき腹の辺り。
【CM2】
プラス極:心臓の下あたり
マイナス極:鎖骨の間辺り。
G:右わき腹の辺り。
【CS2】
プラス極:心臓の下辺り。
マイナス極:心臓の左上辺り。
G:右腕の付け根辺り。
【CM5】
プラス極:鋤骨の左下辺り。
マイナス極:鎖骨の間辺り。
G:右腕の付け根辺り。
【CC5】
プラス極:左鋤骨の左下辺り。
マイナス極:右鋤骨の右下辺り。
G:右腕の付け根辺り。
症例に応じて、電極を取り付ける位置を選択する事により、目的に沿った波形だけを測定する事が出来ます。
各誘導の特徴
誘導名:NASA
類似誘導:V1またはaVF
長所:
・P波の認識が容易。
・体動による、基線の動揺や筋電図のノイズが少ない。
・不整脈の分析に適している 。
短所
・体位や個人差を原因とする波形の変化が比較的大きい。
誘導名:CM2
類似誘導:V2またはaVF
長所:
・アーチファクト(雑音)が少ない。
・不整脈を検知するのに向いている。
短所:
・波形が小さい
誘導名:CS2
類似誘導:V2
長所:
・P波の認識良好。
・不整脈を検知するのに向いている。
短所:
・筋電図が入る事がある。
誘導名:CM5
類似誘導:V5
長所:
・波形が大きい。
・虚血の検出力に優れる。
短所:
・偽性ST低下が現れ易い。
誘導名:CC5
類似誘導:V5
長所:
・V5との近似性に優れる。
・体位の影響が比較的少ない。
短所:
・呼吸による基線変動が比較的大きい。
まとめ
今回は心電図の種類と、電極の取付位置について解説しました。波形がきちんと記録されなければ、正しい解析ができません。そのためには、雑音の少ない判読が可能な心電図情報が綺麗に記録できるように、きちんと電極を取り付けるようにしましょう。