国内製の血圧計に定められている測定範囲

生体現象測定記録・監視用機器

血流が血管内壁に及ぼす圧力を測定する検査機器、血圧計。一般的に使用される非観血式の血圧計に関しては、工業規格によって測定範囲における条件が定められています。それはどういった内容なのでしょうか。血圧の基本に触れながら見ていきたいと思います。

血圧とは

血液は、人間の生命を維持する上で欠かせない役割を果たします。人体を構成する細胞が活動する際に必要とする酸素の供給。それが血液の役割です。

呼吸によって肺に吸入された酸素は血液に取り込まれ、心臓から動脈を通って全身に行き渡り、細胞に酸素を供給します。それと同時に細胞から不要となった二酸化炭素を受け取り、静脈を通って心臓に戻ります。

そして肺に送られ、そこで二酸化炭素は呼気として排出され、血液には再び酸素が取り込まれます。そして血液は再度動脈から全身に送り出されるわけです。この循環を繰り返すことにより、生命が維持されます。

血液が循環するには、血液に流れが生じていなければなりません。その血流を生み出す原動力となっているのが、心臓の拍動です。心臓は、収縮と拡張を繰り返すことで血液に圧力を加えて送り出すポンプのような働きをなしています。その心臓の運動によって血液に加えられる圧力が、血圧です。

血圧によって血液は血管内を循環します。しかしそれと同時に、血管内壁にも血圧が加わり、それが血管にとっての負荷ともなり得ます。血管へのダメージを緩和するためには、血圧の強さを適正に保つことが必要となるわけです。

血圧計の種類

血圧状態を良好に保つにはまず、血圧がどれほどの強さなのか把握しなければなりません。そのために行われるのが血圧測定です。それを実施する際には血圧計が用いられ、血圧を数値化して測定します。

血圧計を大別すると、直接動脈にセンサー類を挿入する侵襲式と、上腕などを加圧することで測定する非観血式の2通りに分けられます。このうち一般的に使用されるタイプは非観血式です。

非観血式の内訳として、手動式と電子式が挙げられます。手動式は主に医療従事者が計測を実施する系統です。加圧に伴う水銀柱の高さを目盛りから読む水銀式と、バネの力など機械的構造から圧力を測るアネロイド式が存在します。

電子式は、センサーによって計測を行うタイプであり計測者を必要としません。家庭での測定も可能なため日常的な血圧測定にも用いられます。

非観血式では、上腕など測定箇所を加圧して血流を塞き止め、その後加圧を緩めていく際の血流の戻り具合を調べることで、血圧値を判定する方法が取られます。血圧値は、心臓が収縮し血液を押す際の値を最高血圧、心臓が拡張し慣性的に血液が流れている際の値を最低血圧として導き出されます。

手動式では、加圧を緩めていった際の血流音すなわちコロトコフ音の変化から、最高血圧と最低血圧を判別します。

電子式においては、加圧を行うカフ部に内蔵されたセンサーが、血管から生じる振動すなわち脈波を感知することによって、最高・最低両血圧が測定されます。

これら測定による正常値について、病院などで測った際の診療所血圧値と日常的環境下で測った家庭血圧値に区分され、若干値が異なります。診療所血圧値においては最高血圧140mmHgおよび最低血圧90mmHg、家庭血圧値においては最高血圧135mmHgおよび最低血圧85mmHgが正常値です。

規格で定められた非観血式血圧計の測定範囲

国内で使用される非観血式の血圧計に関して、その測定範囲が日本工業規格において規定されています。それによると、計量できる範囲として、20mmHg~260mmHgの区間を含むことが求められています。ただし、水銀式血圧計に限っては20mmHg~250mmHgの範囲でも認められます。

一般的に用いられる形態の血圧計に関しては、その測定範囲を満たす性能が要求されているわけです。

まとめ

以上のように、血圧および血圧計の基礎的事項を抑えながら、血圧計に定められている測定範囲条件について確認してまいりました。バイタルチェックに多用される血圧計はこのような規格の基準をクリアしつつ、医療現場に提供されているわけです。

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