心電図におけるノイズの原因と除去法とは?

生体現象測定記録・監視用機器

人体がどのような「状態」にあるのかを診査及び診断がされて正しい治療行為がなされます。しかし、人体の測定記録に不備が起これば、当然診断や治療にも大きな支障がでます。そこで、今回、心臓の状態などを示す心電図にノイズが発生する原因と除去する方法をご紹介します。

心電図ノイズとは?

集中治療室や病棟などの現場では、心電図をとる機会が多くあると思います。その時、心電図を記録しようとした時、ノイズが混入して記録がうまくいかなかったという事はないでしょうか?

考えられる原因について考えてみましょう。発生の要因は多くの場合、機器の故障ではないケースで、電極や環境からの影響を受けている可能性があります。ノイズが入る原因を紹介しましょう。

考えられる原因とは?

いくつかの発生要因は、以下の通りです。

~その①筋電位~
検査の際、袖や検査服の裾をめくる、また胸部誘導をとる場合には、脱衣を行うこともあり体が冷える状況が起きます。そこで身体が寒さで震えるとその筋肉の振動は筋電位となりノイズのように見えてしまいます。

~その②発汗~
患者が暑さで汗をかいていると、電極の間に汗が入り抵抗成分となり、きれいな心電図がとれなくなります。

~その③商用交流雑音~
これは「ハム」と呼ばれる雑音です。この雑音は広い範囲の誘導に認められ、心電計のコンセントから混入します。

~その④周辺機器からの電磁波~
心電計周辺にある機器からの電磁波が混入します。例えば、エコー装置がアースされていない場合、エコー装置に入り込む「ハム」が心電計に磁気的影響を与える可能性があります。

~その⑤心電図ケーブルの不備~
上述の事項を確認しても雑音が入ってくる場合は、機械の故障やケーブル類の断線などが想定されます。

~その⑥ジェルの問題~
ジェルが乾いていることや不足しているときも心電図がきれいにとれないことがあります。

~その⑦呼吸性変動~
呼吸による胸郭の動きにより心電図が上下に動くことにより生じる呼吸性変動があります。

ノイズ除去法

上記の生じた雑音除去法を次に示します。

●筋電位には、患者の身体が震えていないかを確認して、毛布などを準備しましょう。

●発汗が考えられる際は、患者の身体をアルコール綿などでよく拭いてあげましょう。

●商用交流電流が起きている場合は、3Pの電源コードを使用しているか確認して、コンセントはしっかり差し込み、アースをとることで改善します。

●心電図ケーブルの不備のときは、他のケーブルに交換しましょう。それでも未だ雑音が生じている場合は、装置本体を交換してみましょう。

●ジェルが乾いているときは、しっかりとジェルをつけましょう。また、最近の心電図電極は最初から乾きにくいゲルが貼付けられているものもありますから、電極を変えるのも1つです。

●呼吸性変動で雑音が起きているときには、電極の位置を変えてみましょう。

まとめ

今回は、心電図にノイズが生じた場合に、その原因と除去法について解説しました。起こり得る原因に対しては、あらかじめ想定して準備しておきましょう。

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