麻酔器を構成する装置

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
手術に欠かせない麻酔器は、1840年代にアメリカの歯科医モートンによって開発されました。
モートンが開発した麻酔用具は、ガラス球を使った気化器を用いて患者に吸入させる仕組みでしたが時代が進むにつれ、より多機能で安全な装置に改良されていきました。
現代の麻酔器は、ガス供給装置や自動換気装置、気化器など、たくさんの装置から構成されています。
今回は麻酔器を構成する装置の機能をまとめます。

【麻酔器の装置について】

1.麻酔器の装置
麻酔器は、手術中の患者の呼吸管理、麻酔管理を行う医療機器で、複数の装置から構成されています。

(1)ガス供給部
酸素、亜酸化窒素、気化されたセボフルラン、デスフルランなどを混合した揮発性吸入麻酔薬を、流量を調整して中央配管から麻酔器に供給します。

(2)呼吸回路部
呼吸バッグと自動換気装置(ベンチレーター)によって人工呼吸を行います。
ガス供給部から供給される麻酔ガスを患者が吸い込み、吐き出した二酸化炭素は吸収装置(キャニスタ)を通して吸気として循環させます。そして、余ったガスは半閉鎖弁(APL弁)を通して排出されます。

(3)気化器
揮発性麻酔薬専用の気化器で、空気、亜酸化窒素、酸素の一部を気化室に取り込み揮発性麻酔薬で飽和し、一定の濃度を維持します。
気化器には、麻酔薬の濃度を調節するダイヤルが付いています。
麻酔薬の飽和蒸気圧が温度により変質するのを防ぐため、麻酔薬を一定の濃度に保つための補助機能がついています。

(4)モニタリング機器
患者の状態を分析し、ディスプレイに映し出します。
患者の呼気に含まれる二酸化炭素分圧、経皮的酸素飽和度、換気量、心拍数、血圧、心電図などが分析・表示されます。

(5)患者の安全を守る機能
手術中は、全身麻酔で患者の自発呼吸が停止していたり、手術中の多量の出血により容態が急変してしまうことがあります。
そのため、麻酔器には患者の安全を守るため、次のような機能がついています。

・ガスの種類ごとに接続部の形状を変え、誤接続を防止する機能(フールプルーフ)
・心拍数、血圧の異常や無呼吸などを検知し、アラームで知らせる機能
・麻酔器内で不具合が起きた場合でも、酸素が優先的に供給される機能

2.麻酔器の点検
麻酔器のトラブルは、手術を受ける患者の命に係わります。
麻酔器による事故を防止するため、医療機関では始業時や患者が手術室に入室する前に、使用する装置の点検を行っています。

・補助ボンベ
・気化器
・酸素濃度計、酸素センサー(O2センサー)
・CO2吸収装置
・回路の組み立て
・リークテストおよびO2フラッシュ機能
・患者呼吸回路
・人工呼吸器とアラーム確認
・余剰ガス排除装置

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