診療室血圧と家庭血圧の違い

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
体調管理の一環で、家庭用血圧計を使って毎日血圧を測る人が増えています。「病気の予防のために測る習慣を自らつけた」「病気の治療のため医師の指示により毎日計測している」など、血圧測定を習慣化するに至った事情は人それぞれだと思います。
しかし、実は家庭で測った血圧は「家庭血圧」と呼ばれ、病院で血圧を測る場合とは高血圧の基準などが異なります。
今回は、家庭血圧についてまとめます。

【2つの血圧の違い】

・診療室血圧と家庭血圧
病院で血圧を測定して出る数値を診療室血圧と言い、家庭で血圧を測定して出る数値を家庭血圧と言います。
どこで測ろうが血圧の数値であることに変わりはないのに、このような分類がされるのは、血圧がそのときの緊張状態により多少変動するためです。
大半の方は病院では緊張しているので、診療室血圧は高めに出てしまいます。
しかし家でリラックスしている状態で血圧を測ると病院よりも低めに出ますが、本来の血圧に近いのは家庭血圧と言われています。
そのため、診療室血圧と家庭血圧では高血圧とされる値も異なっており、診療室血圧が上140mmHg・下90mmHg以上を高血圧とするのに対し、家庭血圧では上135mmHg・下85mmHg以上を高血圧とみなします。

・家庭血圧の活用
高血圧に関する研究を行う日本高血圧学会は「高血圧治療ガイドライン2014」にて家庭血圧を重視する方針を明記しています。このことから、専門医の間でも家庭血圧を病気の治療に役立てようという動きが活発化していることが伺えます。
なぜ、家庭血圧が重視されるようになってきたのでしょうか。
病院では緊張により本来の血圧が出にくくなるということもありますが、仮面性高血圧などの診療室での測定で把握できない症状を知る手がかりとして有効であることも大きな理由と言えます。

・仮面性高血圧とは?
特定の時間帯に血圧が上昇する症状を、仮面性高血圧と言います。
仮面性高血圧の原因としては、動脈硬化や腎臓、心臓などの病気が考えられるため、きわめて重要な症状と言えます。
仮面性高血圧は、病院での測定のみでは症状が見つけにくく、毎日決まった時間帯に血圧を測り記録をつけなくてはなりません。

【最後に】

今回は、診療室血圧と家庭血圧の違い、また家庭血圧の活用についてまとめました。
高血圧は「ただの加齢現象」として見過ごされることもありますが、大きな病気の予防や、病気の早期発見のためにもこまめなチェックが欠かせません。
また、血圧計を用いることで簡単に測定できるので、患者自身で行える健康管理方法としても有効と言えるのではないでしょうか。

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