麻酔器の定期点検は必ず行うべき!定期点検を行わなかった事例集
【はじめに】
麻酔器の日常点検や定期点検は患者さんの生命維持にも直接かかわってくるほど大切なことで、ないがしろにはできません。
また、麻酔器の日常点検は90%以上の施設で行われているというデータもありますが、一方で麻酔器の耐用期間を過ぎても使用しているという医療機関は18%にも上るという統計もあります。
今回、麻酔器の定期点検期間を超過したにもかかわらず、点検を行わなかった際に起こってしまった麻酔器不具合の発生事例について紹介してみたいと思います。
【定期点検を行わないとこんな不具合が発生!】
ここでは、5つの不具合の事例についてお伝えしたいと思います。
1.ダイヤルが外れた
ある病院での例。麻酔器を使用する前の始業点検中に呼吸回路切替えダイヤルが外れてしまうという事態に・・。
後々確認したところ10年間保守点検が行われていないということが分かりました。
2.ガスケット部品の不具合
呼吸回路にPEEP弁と呼ばれる器具を装着した後、ガス漏れを知らせる警報機が発生。
よく調べてみると、呼吸回路器内のパッキン部分、ガスケット部分が経年劣化してリークしていたことが判明しました。
このケースでも10年間に及び定期点検の実績が確認されませんでした。
3.定期交換部品の交換を怠ったために発生した不具合
酸素フラッシュバルブは定期的に交換しなければいけないとされる部品です。
この酸素フラッシュバルブを7年間交換せずに使用した結果、汚れの蓄積・摩耗などによってボタン戻りがきちんと行われず「酸素が流れたままになる」という事態になりました。
4.ポテンショメーターの汚れ
人工呼吸器部分の部品に当たるポテンショメーターが汚れているにもかかわらず、7年間定期点検を行わなかった結果、使用中の人工呼吸器の動作が停止したという事例があります。
5.ダイヤフラムの経年劣化
人工呼吸器の構成部分に当たるダイヤフラムの経年劣化によって装置内リークが発生。それに伴い換気不良が起こってしまいました。このケースでは8年間定期点検が行われていなかったということです。
【おわりに】
今回紹介したような麻酔器点検を怠ったために発生する不具合は裏を返せば定期点検さえしっかり行っていたら発生しなかったものといえます。
また、麻酔器の日常点検をはじめ、保守点検・定期点検を決められた期間内に行うことで医療事故や施術ミスなどを防ぐことができます。それから点検を行うときには点検計画書を作成しておくと良いでしょう。そうすることで漏れなく点検したことが確認できます。