心電図でストレスは読み取れるのか?
【はじめに】
「ドクン、ドクン」
この響きを聞いたとき、あなたは何を想像しますか?おそらく、多くの人が「心臓の鼓動」を思い浮かべたのではないでしょか。
そして、その心臓の鼓動を視覚的にとらえるのが「心電図」です。
心電図は心臓の筋肉が動く際に流れる微弱な電気をとらえ、それを波形で表したものになります。
近年では、この心電図を使ってストレスを読み取ろうとする研究が進んでいます。
そこで今回は、心電図で分かる基本的なことと、ストレスとの関係性について少し話をしていきたいと思います。
【心電図で分かること】
先程もお伝えしましたが、心臓の筋肉には動くたびに微弱な電気が流れており、それを波形で示したものが心電図になります。
そして心臓が1回「ドクン」と鼓動したときに示された波形の山や谷をP・Q・R・S・Tと区切って観察します。
心電図を観察することで主に何が分かるかというと、心筋の肥大や心臓の病気などといった異常と不整脈です。
検査方法としては、横になった安静状態で検査する方法と運動するなどして負荷をかけながら検査する方法があります。
なぜ負荷をかける検査方法があるかというと、それは負荷をかけた状態でないと狭心症などの虚血性心疾患の変化が心電図に現れないからです。
このように心臓の異常をとらえるデータの一つとなるのが心電図です。
【ストレスも読み取れるのか?】
心電図では心臓の異常を読み取れますが「こころ」に負担をかけてくるストレスも読み取れるのでしょうか。
結論からいうと、明確にストレスを読み取れるというわけではありません。日々、ストレス状態が心電図にどのような形で現れるのか研究しているというのが現状です。
現在、ストレスと心電図の関係で重要になってくるのが「心拍変動」です。
心電図はPからTまでを一区切りとします。そして、一番鋭いピークをとなるのがRの部分です。Rから次のRが現れるまでの間隔は周期的に変動します。これを心拍変動と呼びます。
周期的な変動をもたらす要因の一部として、呼吸と血圧の周期的な変動があります。これら二つは自律神経の機能に関わるものとなります。
自律神経は交感神経と副交感神経の2種類があります。
そして、交感神経と副交感神経のバランスによってストレス状態にあるかないかを判断します。一般的には交感神経が緊張している状態がストレス状態とされています。
これら自律神経のバランスは、心拍変動に変化を与えます。この変化は、心電図の中に呼吸と血圧の変動によって現れたそれぞれの波形数値の差によって読み取るとることができます。つまりストレス状態を示すような数値の差が読み取れるということです。
ただし、自律神経は心拍変動の要因の一つでしかありません。その他にもさまざまなことが心拍変動に影響を及ばします。また、数値の差を算出する方法もいくつもあります。
ですから、心電図はストレスを読み取るための指標の一つでもあると認識しておくといいでしょう。