心電図から知る ~間隔の意味~

診断用機器

「心臓」は筋肉でできた臓器です。その筋肉を動かすために電気が流れ、拍動が起こります。「洞房結節」で生じた電気は、「心房」から「房室結節」そして「心室」と流れていきます。 その電気活動の総和を確認するため、両手足と胸にいくつかの電極をつけて微小な電気を取り出して記録するのが「心電図検査」です。今回は、その心電図波形の「間隔」に焦点を当てて見てみましょう。

心電図からわかること

「心電図」から分かることは、心臓が正常に機能しているか、どこに異常が起きているかなどです。「心電図」の波形は、患者さんの容態を把握するためにとても重要です。心臓のリズムが乱れる「不整脈」の診断には欠かせません。

心電図の波形

正常心電図の波形は主に「P 波」「QRS 波」「T 波」「U 波」の4つの波からできています。

まず「P 波」という小さな波から始まります。この「P 波」は、心房の興奮時に生じる波形で、その「P 波」よりも大きく尖っている波が「QRS 波」です。その後、ゆるやかな波の「T 波」が続きます。「T 波」は心室(心臓を構成する一部で血液を動脈に送り出すための空間)の興奮から回復に生じる波形となります。そして、最後に小さい「U 波」がみられ、これが繰り返されていきます。

波形の間隔

【QRS 間隔】
この「QRS 間隔」は、心室の収縮する時間を意味します。正常な人の場合、「QRS 間隔」は100ms(2.5mm)以下です。「上室性頻脈」と「心室性頻脈」を鑑別する際に重要になるのが、この100msという数字です。

【QT 間隔】
「QT 間隔」は、心電図において「Q 波」の開始から「T 波」の終わりまでの時間のことをいいます。つまり、心室興奮の開始から興奮が消退するまでの時間を示しています。この時間が長くなると、重篤な「不整脈」を発症する恐れがあるので注意が必要です。

【PP 間隔】
心房(心臓の上半部にある右心室と左心室で構成され、静脈とつながっている部屋)の興奮開始から、次の興奮の開始までの時間です。「P 波」から次の「P 波」までの間隔です。

【RR 間隔】
「QRS 波」から次の「QRS 波」までの間隔で、心室の興奮から次の興奮までの時間です。「RR 間隔検査」では自律神経の機能の異常を調べることができます。

【PQ 間隔】
「PQ 間隔」は、心房の興奮が心室に伝わるまでの時間を意味します。「P 波」の開始から「QRS 波」の開始までの間隔です。「PQ 間隔」は各心拍で一定なのが正常です。

まとめ

まずは「正常心電図波形」がどのようなものかをきちんと理解しましょう。「心電図」読影のポイントは、正常波形との相違の認識です。つまり、正常波形を理解していないと心電図は決して読めるようにならないです。

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