喉の異常の早期発見に! 無くてはならないファイバースコープ
目に見えない、ヒトの体の内側の異常。特に、喉や気管支、腸などの異常を早期に発見するのに必要不可欠なファイバースコープ。一緒にその仕組みと歴史をおさらいして行きましょう。
ファイバースコープとは?
はじめに、ファイバースコープがどの様な物かおさらいしてみましょう!
内部で屈折しながら、光が通るプラスチック製又はガラス製の管を光ファイバーと言います。この光ファイバーは通信用途にも使われていますが、これを医療分野に応用し、一方の先端部にレンズやカメラを、反対側の一端にアイピースを備えた装置をファイバースコープと呼びます。
ファイバースコープの歴史
ヒトの体の内部を観察する際、従来は内視鏡をプラスチック製ファイバーの先端に備えたファイバースコープが使われていました。1960年代前半にガラス製ファイバーが開発されると、ファイバースコープの素材は、プラスチック製ファイバーよりも伝送損失が小さく、より細くて曲げやすい、ガラス製ファイバーが使われる様になりました。
ガラス製と言っても、微細なガラス繊維を数万本も束にしてチューブ状にした物で、プラスチックよりも自由に曲げることが出来るのが特徴です。これにより屈曲した構造物やヒトの体を傷付けずに内部を見ることができます。
そして1960年代後半、胃カメラが登場します。胃カメラの特徴は、それまでのファイバースコープと違い、ライトやフィルムを備えた超小型のカメラをケーブルの先端に内蔵して、これを口から体内に入れて患部の写真を撮ることができます。
胃カメラの登場も画期的な出来事でしたが、現在では、CCD(超小型撮像素子)をスコープ先端に備えたビデオスコープが主流となってきています。これにより、従来の光ファイバーを用いたスコープと比べて、格段に高い解像度を得る事が出来る様になっただけでなく、コンピュータへ映像を記録することもできます。
また、外部のモニターに接続することで、より見易く、同時に多人数で患部を観察できるようになったのも特徴です。
なぜ、喉の検査にファイバースコープが有効なの?
ヒトの体は、口から体内へ取り込んだ食べ物を胃で消化して、小腸・大腸で必要な栄養素を吸収し、不要な物は肛門から排泄します。
その最初の入り口である”口の中”の異常、例えば虫歯などは、デンタルミラー(口腔鏡・口腔内鏡・点検鏡)で確認したり、直接目視したりして治療することが 可能です。しかし、その先にある”喉”は、たとえ異常があったとしても直接目視して確認することができません。デンタルミラーも届きません。
喉は口から取り込んだ食べ物が通る、そして冷たい外気に晒されるなど、ある意味とても無防備な部位です。その為傷つきやすく、普通の生活をしていても異常の置きやすい部位であると言えます。
喉に異常が発生する際は、まず粘膜にその兆候が表れます。ポリープや腫瘍なども、早い段階で治療できれば大事に至らずに済みます。その為にも、ファイバースコープを用いることは大変有効です。
まとめ
今回は、ファイバースコープの概要と発達の歴史をご紹介しました。普段身近に感じている機器だからこそ、改めて知ることで感心する事もあったのではないでしょうか。