麻酔器のモニター見方「呼吸モニタリング」について

診断用機器

麻酔器のモニターには、「呼吸器系」や「循環器系」でモニタリングの内容が異なります。呼吸器系は、「二酸化炭素分圧」や「経皮的酸素飽和度」と「換気量」について観察します。一方、循環器系では心拍数や血圧、心電図などを観察する事になります。
今回は、「呼吸モニタリング」について紹介します。

呼吸 モニタリングとは

胸郭の運動の観察や吸気や呼気のガスの組成の変化、呼吸回路から肺胞にいたる気道内のガスの動きを見て、肺胞でのガス交換による動脈血の酸素化、二酸化炭素の排泄を系統的に確認します。

以下の項目の確認によって、安全の為の処置や事故防止に繋がります。

〇パルスオキシメータ
血液中の「酸素濃度」と「脈拍」を測定する装置です。動脈血中のヘモグロビンに対して、結合した酸素の量を、医療行為のうち出血を伴う処置(観血的)に対して連続測定する装置になっています。

〇ヘモグロビン酸素解離曲線
ヘモグロビンと酸素との関係を示したのが「酸素解離曲線」となっています。モニターの縦軸がヘモグロビンと結合している「動脈血酸素飽和度(SaO2)」を表しており、ヘモグロビン全体で何パーセントが「酸素ヘモグロビン」であるかを示しています。

対する横軸は「酸素濃度」となっており、酸素がどれくらい存在しているかがわかります。酸素分圧(PaO2)が高い部分では、グラフ上で平坦を示します。PaO2が低下すると、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が急激に下がる事になり、その原因の追及と対策が必要になります。

酸素飽和度が90%以上の場合でも、気管チューブや人工呼吸器、酸素ラインの外れなどのトラブルがないか確認をしましょう。

〇カプノメータのモニタリング
麻酔における呼吸管理に必要なモニターです。呼吸の有無、状態などを知ることができるだけではなく、「二酸化炭素濃度」に対して呼気に含まれる濃度も測定します。

呼気中の二酸化炭素は、循環によって肺に運ばれ換気によって呼気中に表れます。代謝と換気条件が一定の条件下では、循環のモニターとして活用できます。

カプノメータの測定方法には、2種類の方法があります。

【メインストリーム 方式】
呼吸回路内に組み込まれる方式です。測定部分を気道につけて、測定を行うのでリアルタイムで表示されます。気管挿管やラリンジャルマスクでの気道確保が行われている場合に使用できます。重量があるため、気管チューブが折れまがってしまわないように固定する必要があり、注意が必要です。

【サイドストリーム 方式】
必ずしも気道を確保する必要がなく、麻酔器の回路から吸収するように測定できます。軽い点がよいところですが、低流量麻酔の際にずれてしまったり、チューブが折れて測定できないこともあるので、その点で注意が必要です。

カプノメータのモニタリングの見方として以下の状態を表します。

【第Ⅰ相】
吸気の終わりから、まさに呼期が開始されようとした再呼吸時に形成されます。

【第Ⅱ相】
末梢気道より呼気ガスが排泄されることによって、その呼気流量にしたがって二酸化炭素分圧の上昇が形成されます。立ち上がりがゆるやかで、時間の延長がある場合を示します。原因としては、気道狭窄や呼吸回路の閉塞と、サイドストリーム方式のサンプリングの流入速度が遅い場合におこります。

【第Ⅲ相】
末梢の気道の狭窄で、二酸化炭素の排出が一定でない状態に時間を要する事で、二酸化炭素濃度が呼気終末の方向へゆるやかに上がっていきます。慢性閉塞性気管支炎や喘息の発作が原因となります。

【第Ⅳ相】
カプノグラムのなだらかな下降は、サンプルガスの吸引が遅いことや、吸気弁が故障した際に、吸気量より吸引量が多い状態になっています。

まとめ

呼吸モニタリングの目的には、呼吸器系に発生した異常に対する早期発見によって、すみやかな処置をすることで、事故防止や安全対策が可能になるのです。モニタリングだけに頼るのではなく、自分の五感と共に患者さんに対応して行く事が重要なのです。

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