MRI検査におけるRFコイルの役割
磁気を利用して人体の断面画像を得ることができるMRI検査。RFコイルはその検査を行うに当たって、重要な役割を果たすことになります。それはどのようなものなのか、MRI検査及び装置の基本的な仕組みについて振り返りつつ、概略的に見てまいりましょう。
MRI検査とは
MRI検査では、人体に含まれる水素原子が磁気に対して示す性質を利用し、体内の臓器や血管等の断面画像を撮影することができます。同じような検査にCTがありますが、基本的に輪切り状にした横方向の断面画像を採るCTとは違い、MRIはさまざまな方向からの断面画像を撮影できるなど、特徴が異なります。
強力な磁力を発生させて行われる検査であるため、装置内に金属類や電子機器を持ち込むことがないよう注意が必要です。
MRI検査の原理
MRIはどのような原理を用いた検査なのか確認していきます。
人間の身体には多くの水分が含まれ、水(=H2O)はその化学式が示す通り水素(=H)を含んで構成されています。自然な状態にある水素では、その原子核の向きは個々によってバラバラです。しかし原子核の構造上、強力な磁力の影響下では全ての水素原子核が一定の方向を向くという性質があります。MRIはその性質を応用したものです。
円筒形のMRI装置には、検査中10,000ガウスもの強力な磁場が発生し続けています。その中に入る被検者の身体に含有する水素原子核は、上に述べたように一定の向きで固定されているわけです。
そこに特定の周波数の電磁波を当てると、磁場に作用して水素原子核の向きが別の方向へと変わります。これを磁気共鳴現象と言うのですが、電磁波を切るとその現象もなくなり原子核は再び磁場の影響による向きへと戻ろうとします。
この時、水素が含まれている身体の構成物、例えば脂肪や骨等の違いによって、戻るスピードに差が生じます。この戻りの速度を検知し、速さの緩急を白黒の濃淡で表していくと、身体内部の断面画像として描写されます。
以上がMRI検査の大まかな仕組みです。
RFコイルとは
前項の説明から、MRI検査は磁気共鳴現象を発生させて行われることが理解していただけるかと思います。その重要な要素であるところの磁気共鳴現象を起こさせるのがRFコイルの役割です。
MRI装置に入る前、まず被検者身体の検査を要する部分の周囲に円筒状の器具が装着されます。それがRFコイルです。これにより生じる電磁波が磁気共鳴現象を引き起こし、覆われた部分の断面図を画像化するというわけです。
まとめ
以上の通り、MRI検査の原理を概略的に交えつつ、使用されるRFコイルの役割について確認しました。要点にまとめると以下の通りとなります。
・MRI検査は磁気共鳴現象を用いて身体内部の断面図を撮影する検査である。
・強力な磁界内で一定の方向を向いている水素原子核に特定の周波数の電磁波を当てた時、その向きが変わることを磁気共鳴現象と言う。
・RFコイルは磁気共鳴現象を起こすための医療器具である。